屎尿・下水研究会

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平成20年度 小平市ふれあい下水道館・特別講話会

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平成25年度 小平市ふれあい下水道館・特別講話会




平成25年度 小平市ふれあい下水道館特別講話会のあらまし


 平成25年度の小平市ふれあい下水道館特別講話会は、同館講座室において10〜翌3月の毎月1回、13時30分〜15時30分に、合計6回開催されました。


第1回 改善された富士山トイレ問題 (10月20日(日) 岩堀 恵祐氏(日本下水文化研究会、宮城大学環境システム学科教授(前静岡県立大学教授))

 電気も水もない厳しい環境下にある富士山の山小屋トイレを改善すべく、静岡県では研究会を設置し検討を加え平成14年に改善案を提出した。これに基づいて順次改善を行い、17年度までに整備対象の24箇所全てが新しく生まれ変わった。この研究会の委員長を務めた講師が、富士山のトイレ問題とその後改善された現状を語った。
 富士山にふさわしくないものの筆頭に挙げられるのは「富士山のトイレ」ではないか。
 新五合目の公衆トイレは循環式水洗トイレであったが、山頂のそれは素掘り式で屎尿は放流・浸透させていたし、また、25箇所(静岡県側)の山小屋トイレのほとんども屎尿を放流・浸透するものであった。
 登山者が出した屎尿を山肌に流すため、ティッシュペーパー(注:霧や雨の多い高所では湿気が高く水溶性のトイレットペーパーを常置できない)が分解されずに残って遠くからは「白い川」に見え、近づくと臭うと、登山家の田部井淳子さんがかつて「週刊文春」(平成10年4月9日号)で警鐘を鳴らしていた。
 この警鐘に先立つ平成8年度から静岡県では、富士山にふさわしいトイレや屎尿処理法の検討・調査を開始している。
 富士山は他の山に較べ、気象(雷、強風、雪崩、低温)、地形(急勾配)、地質(火山礫)の諸条件に加え、夏季集中利用(7〜8月の2ヶ月間に約30万人)、水や電気が期待できないなどトイレの設置条件が極めて厳しい。
 山小屋トイレの改善や携帯トイレによる持ち帰り実験の提案(平成8年度)及び屎尿処理装置を一体化したトイレ(自己完結型トイレ)の実証実験の必要性の指摘(平成9年度)がなされたことを踏まえて、平成10年度に静岡県では「富士山トイレ研究会」を立ち上げ本格的な実験・調査に入った。
 平成10年度は杉チップ式トイレの実証実験と利用者の意識調査を、11年度は山頂の公衆トイレの屎尿運搬や脱臭実験を、12年度はオガクズ式、杉チップ式、水循環式トイレの実証実験と利用者の意識調査、13年度はオガクズ式、水循環式トイレの実証実験と利用者の意識調査をそれぞれ実施した。
 山頂の公衆トイレは水分が地下に浸透し、さらに気圧が低いこともあって、バキュームでの吸い取りは困難ではないかと危惧されたが、水の補給により5回の試みで計3,000リットルを吸引・運搬できた。しかし、便槽はゴミ箱状態(ゴミの総数は1,487個)であった。
 オガクズ式: 便槽にオガクズを充填してあり、排泄された大便はミキサーで攪拌されオガクズと混合、加熱・乾燥される。バイオトイレと云われているが、コンポストトイレとしての特性をもっている。オガクズには脱臭効果がある。
 杉チップ式: 充填材をオガクズに代えて杉チップにした方式である。杉チップにも脱臭力がある。
 カキ殻循環式:充填材にカキ殻を用い、その表面に繁殖した微生物の浄化能力で屎尿を処理する。処理水は水洗水として循環利用する。
 土壌循環式:充填材に土壌を用いて浄化する。処理水は循環利用する。
 4年間の調査結果を基に、静岡県知事に最終報告書(当面は汲取りトイレと自己完結型トイレとの併用を提案)を提出した。これを受け行政側は、富士山トイレの改善に向けた法的整備・予算措置を行なった。
 山頂の公衆トイレは、今のところは屎尿を溜めておいて5合目まで運び出さざるを得ないが、最終的には、屎尿の減量化を図り乾燥物にし、小さな袋に詰めて用を足しにきた人に渡して、下山時に5合目まで持って行ってもらい、そこで処理するのがベターであろう。
 設置スペースが狭く利用者も比較的少ない山小屋トイレでは、自己完結型のトイレを設置するのがよい。
 トイレを清掃・管理する経費は、入山料あるいはチップを払ってもらって充当したらどうか。
 静岡県側の山小屋24箇所のトイレは平成17年度までに改善され、その内訳はオガクズ式が11箇所、カキ殻循環式が7箇所、焼却式が2箇所、オガクズ式+焼却式が3箇所、オガクズ式+土壌循環式が1箇所 である。なお、山梨県側の山小屋18箇所も平成18年度までには全部が改善されている。設置に当たっては、行政側から大幅な補助金が出された。
 一番大切なのは、トイレを使う際のマナー(ゴミや異物を絶対に投げ入れない。トイレットペーパーは水に溶けるティッシュ以外は使用しない。トイレ内で休憩、仮眠は絶対にしない)である。 平成25年6月に富士山は世界文化遺産に登録されたが、これは目的ではなく、これからも将来にわたって富士山を守っていくための手段であると考えるべきである。
 富士山環境保全対策連絡会ができ、今後も引き続いて、屎尿処理対策やごみ・雑排水対策を含めた総合的な環境保全対策を講じていくことになっている。
 世界遺産登録までの手続きや事前の様々な準備・努力について、説明があった。


                               
第2回 身近な水辺に生きる水生昆虫と魚 (11月17(日) 安齋 純雄氏(元東京都下水道局))

 身近な水辺に棲む水生昆虫や魚について、講師が在住している町に流れている川を観察して得た写真や動画を使って、具体的に解説していただいた。
 幼少年期の水遊び: ホタルが棲む田んぼがあり、農業用水路も浅い素掘りの緩やかな流れで幼い子どもでも裸足で入れた。ここでメダカやエビやヤゴを捕まえた。道路脇の岩窪にはサワガニ(雑食性で、岸際の流れや石下に棲む)もいた。河川も土手か、せいぜい石積みの護岸で半ズボンにゴム草履で川遊びができた。水路にはトンボが飛び交い、朝夕行き来するときにオニヤンマを捕まえるのが一番のワクワクであった。自宅前の待従川(横浜市金沢区)の上流に宅地が開発され生活排水の汚れが流入し水質が悪くなり、コイやフナが増えてきた。それでも、石積みの間に短い釣竿を入れてウナギを専門に釣るオジサンを見掛けた。農業用水路が接続する浅瀬にはウナギの稚魚が群れていた。
 待従川に親しむ会: 私の小・中・高校の後輩が立ち上げた団体で、下水道が整備されできれいな清流に戻った、待従川の生き物の観察と川の清掃活動をしている。昔からあった湧水池から始まって、その先の川に棲んでいる生き物や水辺環境へ、さらに今では川が注いでいる平潟湾にまで、その活動範囲を広げている。
 現在、神奈川県・秦野に住んでいるが、ここは市内に湧水群が点在する水の汚れとは無縁の土地柄である。20年来家族で「子供と生活文化協会」(小田原市)に関わり、水生昆虫の観察会を行なったり、大雨による山林破壊や川の生き物を守るため杉の間伐や雑木林への転換を進めるなどの幅広い活動をしている。
 水生昆虫: ゲンゴロウの幼虫はお尻に気泡を溜めて、空気呼吸を行なう。トビゲラの幼虫は砂粒や植物、口から出す絹糸状のものを組合わせて独特な形をしたケースを作る。ほかに、カワゲラの幼虫、カゲロウの幼虫、ミズスマシの幼虫、ガガンボの幼虫、ヤゴ、タイコウチの幼虫、ミズカマ  (カメムシの仲間)の幼虫についての説明があった。
自宅の近くを流れる清流に生息している生き物について、手作りの動画を駆使しての解説があった。カワニナ(落葉などに生えた付着藻類を食べる)やトビケラの幼虫がおり、羽化したばかりの黄色いカゲロウも観察できた。カゲロウの成虫は頼りない飛び方をしているが、幼虫は水中でびっくりするほどすばしっこく動く。
 金目川のアユ: 二宮の海岸に注ぐ、アユが遡上する小河川である。水生昆虫が多く生息している。雨が降るとかなりの水量となり濁流となる。
 数年前にテレビで放映していた、東京湾の生き物に関する映像: 大都会に囲まれた東京湾にも自然が戻ってきており、意外なところ(東京湾アクアラインの辺り)にスズキが群れており漁場になっていた。波消し用のコンクリートブロックにワカメが根を張り繁茂し、水中林を形成しているところにはメバルなどの魚が集まり、一つの生態系が形成されていた。また、水温が付近より高い工場の排水口回りには、暖海性のムラサキイガイが繁殖し、ボラなども寄ってきている。
【参考】: 淡水域の水質を、水生昆虫、魚類などを指標生物として次の4段階に分けることがあり、これを水質階級という。
 貧腐水性(BOD=0〜4mg/リットル): きれいな水で、キカワゲラ、ムナグロナガレトビケラやヘビトンボの幼虫、サワガニ、イワナ、ヤマメなどが生息する。
 β−中腐水性(BOD=4〜13mg/リットル): 少し汚れた水で、コガタシマトビケラ、サホコカゲロウの幼虫やカワニナ、シジミ、ヌマエビ、ウグイ、シマドジョウなどが生息する。
 α−中腐水性(BOD=13〜22 mg/リットル): 汚い水で、ミズムシやヒルやヒメタニシ、コイ、フナなどが生息する。  強腐水性(BOD=22 mg/リットル以上): 大変汚い水で、イトミミズやセスジユスリカなどは生息できるが、魚類は普通みられない。


第3回 開発途上国の環境・衛生支援を考える (12月15日(日)  森田昭氏(日本環境衛生センター))

 開発途上国では開発と環境・衛生改善とがバランスせず、環境・衛生問題がしばしば深刻化する場合があり、適切な支援活動のみならず、途上国自らが変革しようとする内発性も必要となる。講師自らの経験に基づく、長期的かつ継続的な在るべき支援策が提示された。特に「セプティックタンクの諸問題」が強調された。
 途上国では調査研究から政策づくりに至るまで、民間コンサルタントに行政がアウトソーシングする例が多く、民間に優秀な人材が集まり、行政側の人材が不足する傾向にある。このことが、行政の事前の理解や導入後のチェック(モニタリング)機能が十分に働かず、行政と民間との間でトラブルが発生する遠因となっている。
 途上国では、特定の都市に人口が集中し、無秩序な都市開発とも相俟って、都市の再生が阻害され徐々にスラム化するケースが見られる。
 プライバシーが確保できるトイレが持てると、女性が自由にトイレに行くことが可能となり、排泄を我慢するがゆえに罹る泌尿器官等の疾病リスクを軽減することができる。
 途上国の既存都市では、再開発の遅れや資金難などから下水道の普及が進まず、依然として脆弱なオンサイト処理に頼っている例が多い。一方、生活水準の向上とともに水消費は増大し、トイレ排水を含む生活排水量が増え、未処理汚水による衛生・環境問題が深刻化している。
 水洗化指向によりピットラトリン等の簡易なトイレに代わり、水洗方式(簡易なものを含む)が普及しその処理装置としてセプティックタンクと浸透槽とを組合せた方式が広く普及している。
 ところがアジア地域ではセプティックタンクは、単独の主処理装置として利用されている。元来、セプティックタンクは植民地時代に欧米から持込まれたもので、病原菌の死滅を図るため屎尿を簡易的に嫌気処理するもので、土壌トレンチ槽に対する前処理として開発された技術であり、単独の処理では十分な処理ができず、かえって水質汚濁を引起す元凶となっている。
 また、セプティックタンクは、長年使用すると汚泥が堆積し配管の閉塞等のトラブルの原因となり、ひいては汚泥の系外流出を引起こすこととなる。トイレのユーザーはトラブルが生じない限り汚泥引抜きを行なわず、長期にわたって継続使用している例が多い。後始末に紙を使わない習慣や気温が高いなどの条件が、セプティックタンクの長期使用を可能にしているものと思われる。このことがかえって、汚泥の定期的な引抜きが最も重要な管理手法であるのにも係わらず、「セプティックタンクはメンテナンスフリーでありコストのかからない処理装置である」と誤って考えられてきたのであろう。 さらに、家の床下に配置したり、タンク表面を地表面より下げて設置するなど、定期的な管理を前提としていない設置状況となっているケースが多い。 民間業者により汚泥引抜き作業が請負われている例もあるが、料金設定が適切でないためか、引抜き汚泥を違法に河川投棄していることも多い。もっとも、汚泥を処理する施設の整備が遅れているという面もあるが。
 日本においても単独式浄化槽が合併式になかなか切り替わらない事例を他山の石とすると、セプティックタンクへの対策は、家の建替えや地域の再開発に併せて、下水道や本格的なオンサイト処理装置への切り替えを促進することが現実的と思われる。


 
第4回 温水洗浄便座の開発秘話 (1月19日(日)木内 雄二氏(日本トイレ協会))

 都市住民にとって不可欠な設備である水洗トイレの快適性を格段に向上させ、使用者の清潔感覚をも変化させた「温水洗浄便座」について、その開発にまつわる様々なエピソードを披露してもらった。
 大正3年に製陶研究所(東洋陶器の前身)が陶器製の大小・和風水洗式便器を売り出し、大阪の浜田商会その他へ納入した。昭和35年を境に(昭和39年:東京オリンピック開催)、和風便器から腰掛便器へ急速に転換する。現在では新たな出荷のほとんどが腰掛式である。
 日本で生まれ生活必需品とまで云われるようになった温水洗浄便座(ウォシュレットは商品名)は、紙を使うのが当たり前だったトイレに革命を起こした。お湯で尻を洗い温風で乾かすと云う新たな「お尻を洗う」生活文化が生み出されたのである。1967年に家庭用に発売されて以来、今や一般世帯での普及率は70%を超えている。
 元々、アメリカで医療・福祉用器具として開発されたものである。痔に悩む人にとっての福音とまでいわれていたが、水温や温水の発射方向が不安定であり、多くの欠陥が指摘されていた。
 国産化に当たっては、まず、お湯を当てる位置すなわち肛門部の位置を明らかにするために、便器に取り付けた線に自分の肛門の位置を示す付箋を貼り付けて基本的データを集めることになり、数多くの社員の協力を仰いだ。水量、水温、噴射角度など、製品の設計に必要なデータも一から収集しなければならなかった。研究スタッフの家族をも巻き込んでの社運をかけた、試行錯誤の製品開発が進められた。
 温水の噴射に関するこんなエピソードがある。「自動車のアンテナからアイデアを得、便座から一直線に伸びるノズルを設計しその先端に噴射口を取り付けた。便座からお尻の間近まで伸びるノズル、的と噴射口との距離はほんのわずか。お湯が正確に的に当たる確率が飛躍的に高くなった」 漏電防止に関してはこんなアイデアで克服した。「ICが使われているのに、信号機は風雨にさらされても故障しないが、なにか特殊なICが使われているのだろうかと考え、特殊な樹脂でコーティングされた防水型ICに辿り着いた」
 販売後に明らかになったこんな失敗もあった。熱交換器に取り付けられたヒーターの電熱線の金属疲労による断線である。これは、「それまでアルミだった電熱線をステンレスに変え、さらに太くする」ことで解決した。
 改良後再度、売り出すに当たってのテレビのCM放送にまつわるエピソードを一つ。「CMの時間帯を夕食時の午後7時からのゴールデンタイムに絞り、新人女優の口から「こうして紙で拭く人っていませんわよね。紙じゃ取れません。おしりだっておんなじです。おしりだって洗ってほしい」と言わせたのである。直後から激しい抗議の電話が殺到したが、ひと月後にはクレームも収まり、新型便座の名は全国に広がった」
 この間洗う機能以外でも、暖房便座、脱臭、乾燥、大便器自動洗浄、便座や便蓋の自動開閉、擬音装置、便器の除菌など様々な機能を装備していった。さらに、節水・省エネ化の要請を背景としてさらに進化しつつある。 今や、家庭内だけでなく、オフィスビル、ホテル、病院、交通施設など多くの公共施設で利用されている。
 国際的には、韓国では日本と同様に普及が進んでおり、中国やアジア諸国でも普及が加速されてきている。アメリカや欧州では、ここ数年で数多くの製品が新たに発売されており、普及が促進されようとしている。  温水洗浄便座は電気製品であることをお忘れなく。故障したままの使用や長年の使用は、電気部品が劣化し発煙発火の恐れがあるので、定期的な点検を勧めたい。10年以上使用した製品は買い替えを!とのこと。


第5回 水再生センターに集まる鳥たち (2月16日(日)水口 忠行氏(日本野鳥の会))

 日本野鳥の会の会員である講師が、水再生センターやその放流水域に飛来してくる野鳥との驚きの出会いを語った。
 世界中には9,000種の野鳥がいるが、このうち約350種が国内に生息もしくは定期的に見ることができる。身近な家の周囲ならスズメ、ハト、カラスが、季節によってはヒヨドリ、ムクドリが見られる。高原や草原に行けば、ノビタキ、コヨシキリの姿を目にできる。
 桜や梅の花の蜜を吸いにメジロ、ヒヨドリが、柿の実にはムクドリやジョウビタキが群れる。ウグイスやムシクイは葉が茂ったところや藪を好むので声がしてもその姿をとらえることが難しい。初冬にはイヌワシ、クマタカが大空を飛ぶ姿が見られる。山地の森ではコルリ、コマドリと、渓谷ではオオルリ、ミソサザイと出会える。
 淡水域の水面ではカモ、バン、カイツブリが、水際にはセキレイ、チドリ、サギが見られ、また、干潟ではシギ、チドリがカニやゴカイを食べに集まる。冬の海岸の代表はカモメ類である。
 新河岸水再生センター: カモメ、オナガガモ、カルガモ、コガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、マガモ、ヒヨドリ、ムクドリ、オナガ。
 浅川水再生センター: ハクセキレイ(雛や卵を守るために親鳥が傷ついているように動き回り敵の注意をそらす「擬傷」の習性がある)、アオサギの若鳥の魚採り。
 砂町水再生センター: 数百羽のカワウ(冬の砂町運河)、キンクロハジロ、ゴイサギ、カワセミ。
 荒川左岸流域下水道処理場: 放流先の荒川河川敷の野火の後の焼け野原で、カシラダカ、ツグミ、アカハラ、シロハラが餌をついばんでいた。
 八王子水再生センター: オオタカがクロツグミを狩りする情景を目撃した。メジロは枝の間に細い植物質などをクモの糸で絡めた小さなお椀型の巣を作る。
 南多摩水再生センター: 高い木の上にアオサギの寝床を発見した。近くの木にも5羽ぐらいの仲間がおり、コロニーを作っていた。
 中川水再生センター: アオサギが池の鯉を狙っているのに遭遇した。池のふちに止まって身動き一つせずに数十分間。さっと嘴を池に入れたかと思うと、なんと40pを越える大きな鯉を捕らえ、草の上へ放り投げ、暴れる鯉を頭から飲み込んでしまった。しばらくじっとしていたが、やがて川の方へ飛んでいった。
 マンション横のケヤキ: ハシブトガラスの巣が強い風で落下。木でできた巣の下には大量の色とりどりのハンガーが残されていた。
 浮間公園: 北風が強く吹く日に、同じ様に風上に向くオナガガモの群に出会った。
 野鳥の見分け方: くちばし、尾、翼、色彩模様、大きさなどのほか、とまり方、尾の動き、飛び方、歩き方、声、採食、水浴びや砂浴びの様子などを記録する。
 例: コゲラはまっすぐ上へ昇り、キバシリはらせん状に昇り、ゴジュウカラは逆さになる。モズは円を描くように尾を回し、セキレイは大きく上下に、ジョウビタキは細かく上下に動かす。スズメやカモは翼を規則的に動かし真っ直ぐ飛び、セキレイやヒヨドリははばたきと滑空を交互に繰り返す波状飛行を行なう。カモやキジは両足を交互に動かして歩き、スズメやホオジロは両足を揃えてぴょんぴょんと跳ねて進む。水浴びや砂浴びは羽毛を清潔に保つために行なう。水浴びには、浅瀬で暴れるように浴びる小鳥型、ゆっくりと浸かるように浴びるハト型、飛びながら瞬間的に水に入るツバメ型、水面に浮かんでバシャバシャ浴びるカモメ型などがある。キジやヒバリは砂浴びを行なう。
 自宅へ鳥を呼ぶ: 自分の庭に鳥を招くのも、じっくりと生態を観察できるので楽しい。食物が少なくなる冬場をねらって、食物(リンゴなどの果物)と水を用意しておくだけでよい。


第6回 家庭紙とトイレグッズ (3月30日(日)関野 勉氏(日本下水文化研究会))

 屎尿・下水研究会が作成した「文化資料−6 家庭紙とトイレグッズ」をテキストとして使い、さらに講師が国内及び海外を旅した折に収集した実物のトイレグッズをも交えて解説した。
 人間は二足歩行の立位なので、口と肛門とが垂直になり重力が掛かり、肛門の筋肉を締めておかないと大変なことになる。動物のように脱肛排便ができないので、尻始末が必要となった。
 尻始末の用具には、指と水、小石、土板、葉っぱ、トウモロコシの芯、ロープ、木片・竹べら、海綿、海藻、苔、紙などが知られている。
 紙は2150年ほど前に中国で発明された。尻始末に紙が使用された可能性を示す記録が6世紀の中国の文献にある。わが国では12〜13世紀頃、上流階級の人々が大壺紙として尻始末に用いていた。ドイツの17世紀のある物語にトイレットペーパーなる言葉が出てくる。  ロール状のトイレットペーパーの基本特許というべきものが1871年に認可されているが、ラッピング用の紙をロール状にしミシン目を入れた技術である。トイレットロールの製品化は1880年頃である。
 日本では明治32年に初めて新聞広告として表れ、その後大正13年に神戸市の島村商会が汽船に積むために生産したとの記録がある。昭和12年の須賀工業(株)のカタログに、幅12.7pの両切りスタイルのトイレットロールの写真が載っている。
 日本では以前からビジネスホテル等で、トイレットペーパーの端の三角折りが行なわれていたが、2012年にメキシコを旅行した際に、各地のホテルでいろいろな折り方のものを見た。
 明治末頃より昭和50年代ぐらいは、ティッシュペーパーの前身である鼻紙が一世を風靡した。家庭紙の代表的な製品である。これはそのラベルのスクラップ帳であり、200枚ほど貼ってある。
 これは、カナダの製紙会社の5種類のトイレットペーパーが鳩目されたサンプル帳である。1950年代のものである。
 『Toilets of the World』(2006年にロンドンとニューヨークで発行)の日本語版・『世界の変なトイレ』が2013年に発売された。この本に、新宿のあるビルにかつてあった台湾屋台・レストランのトイレにあった巨大なオブジェが紹介されている。ちなみに、ドイツの出版社がこの本の原書から12枚の写真を抜粋してカレンダーを作っている。
ビレッジ・バンガードで見つけた和便器・洋便器型のカレー皿である。瀬戸のメーカーが企画し、中国で製造されたものである。この皿を使ってカレーを供している店もあるらしい。このほか、和便器型のプラスチック製の容器を用いて“ク・ソフトクリーム”を売っているレストランが清里にあり、500円で食べた後、容器を持ち帰ることができるとのことである。
 これは小便器や和便器やトイレットロールをあしらったストラップである。洋便器を模ったスピーカーもある。
 これはハイタンク型洋便器のミニチュアである。イタリア・ローマのスペイン広場近くの玩具店のショーウィンドゥでみつけたもので、ずっしりと重い鉄製である。日本でも昔、バー、居酒屋等でこのタイプの洋便器を見掛けたが、いつ頃なくなったのか、最近では全くみることができない。
 ベルギー・ブルュッセルにある小便小僧は、600歳以上になるといわれる。昭和天皇もここを訪問の際、この小便小僧を夜中にお忍びで御覧になったと、香淳皇后が亡くなった時の新聞記事で読んだことがある。これは小便小僧がある処の近くの店で売られていたものである。日本には、浜松町と小田原に兄弟の小便小僧(ともに東京芸術大学教授が製作)がある。また埼玉県行田にはベルギーから送られた小便小僧三兄弟がいる。今はどうなっているのか定かでないが、ブリュッセルには小便少女もあった。
 著名人の顔写真が印刷されたトイレットロールもある。私が持っているのはレーガン元大統領、オバマ現大統領それにクリントン元国務長官のものである。イラクのフセイン元大統領のものをみたことがある。
 これは2007年にモスクワで開かれたワールドトイレサミットでロシアトイレ協会会長からいただいた移動式トイレの陶器製のミニチュアである。このような汲取りトイレは、まだ下水道が普及していないモスクワ郊外のダーチャ(畑のある別荘)でみられる。
 トイレコレクションのうち、なん種類かのものは絵葉書にして皆様に差し上げている。トルコ・エフィソス遺跡の公衆トイレ、江戸名所道外盡28の妻恋ごみ坂の景、1904年の日付のあるフランスのトイレ入出情況、日本の大正時代頃の商家の厠掃除の情況などである。
                       (文責 地田修一)