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第58回 屎尿・下水研究会

水琴窟を訪ねて

中村 隆一 氏

会員各位様
 

日時: 12月10日(木) 18時30分〜
場所: TOTO新宿ショールーム(スーパースペース)
     会議室(プレゼンテーションルーム)
演題: 水琴窟を訪ねて
講師: 中村 隆一 氏
内容: 手水鉢から流れ出る水を地面の下で受ける仕掛けが「水琴窟」。このとき発せられる妙なる滴り音に魅せられ全国の水琴窟を訪ね歩き、耳で確かめた水琴窟談義である。

水琴窟を訪ねて

中村 隆一 氏

 平成21年12月10日(木)、東京のTOTO新宿ショールームのプレゼンテーションルーム(会議室)で、標記の例会を行いました。講師は、10数年前から、水琴窟の妙なる滴り音に魅せられ全国を訪ね歩き、耳でその音を吟味し、写真にその形状を定着し、その印象を文で綴ってきた中村隆一氏(本会会員)です。業界専門誌の「かんろかんり」に折に触れて連載してきた水琴窟探訪記は、すでに20回に上っています。今回の講話は、今までに中村氏が書き溜めてきた水琴窟に関する記事を「屎尿・下水研究会 文化資料―2 水琴窟探訪」として纏め、簡易に製本した冊子をテキストに使いました。 当日は、CDに収録された水琴窟の音色を聴きながらの、また隠れて見えない地下部分の水琴窟の構造図を見ながらの、さらには音響学にも及ぶ、はたまた水琴窟の元祖・小堀遠州の系図をも辿る、という総合的な水琴窟談義となりました。
 以下に、講話のほんのあらましを紹介します。
@ 水琴窟の原型は「洞水門」(一種の排水設備)であり、小堀遠州(1579〜1647年)が考案したものといわれている。
A 江戸初期に始まり、文化文政時代に流行し、明治・大正で盛んになり、昭和初期で衰微した。
B 平山勝蔵東京農大教授が、昭和12年頃、鳥取県の尾崎邸で、また昭和31年頃、東京・品川の吉田邸(旧安田邸)で水琴窟を再発見し、造園雑誌に論文を発表した。
C 朝日新聞が昭和57年、58年に記事として取り上げる。
D 東海地方で、昭和60年から水琴窟の復興の動きが活発化する。これには、「日本の音研究所」(主宰・中野之也氏)が強く関わっている。新しいものが次々と造られ、現在、全国で1,000箇所を超えると推定される。
E 伝統的な水琴窟: 縁先蹲踞水琴窟、添景蹲踞水琴窟、便所手水鉢水琴窟
F 創作水琴窟: 壷中琴(室内に置く)、卓上水琴窟、天水琴(瓶に溜めた雨水を滴らす)
G 水琴窟の音は、800〜2,100ヘルツ、60ホン程度である。録音したままの生の状態では雑音が多いので、パソコンで処理した音を聴かざる得ない。
H 印象に残った水琴窟: 品川歴史館(旧安田邸。朝日新聞が水の音色、江戸の風雅として紹介。残念ながら車の騒音で竹筒を耳に当てて聴くしかない)、京都・妙心寺退蔵院余香苑(音色は天来の妙音であるが、造られたのはごく近年)、京都・伏見の大橋家・苔涼庭(家屋の構造が坪庭のようになっているため、滴水音が良く響く)、美濃市の今井家(ここの水琴窟の復元がきっかけとなり、日本中に水琴窟ブームが起こった)、可児市の木曽古文書歴史館(江戸初期に造られた最古の水琴窟の一つではないかと推測される)
I 水道・下水道局が造った水琴窟: 名古屋城・二之丸茶亭、小平市・ふれあい下水道館、横浜市・横浜公園、東京都・淺川水再生センター
J 凛とした気品(音色と形状)を持った水琴窟がどれだけあるのか、これからも水琴窟探訪を続けるつもりである。

(運営委員・地田修一 記)