発表タイトル
分科会
屎尿・下水研究会
第54回 屎尿・下水研究会
私の見たユニークなトイレマーク
関野 勉 氏
日時: 12月4日(木) 18時30分〜
場所: TOTO新宿ショールーム(スーパースペース)
会議室(プレゼンテーションルーム)
演題: 私の見たユニークなトイレマーク
講師: 関野 勉 氏(本会会員)
内容: 現在使われているトイレマークは、東京オリンピック(昭和39年)の開催がきっかになっています。文字の通じない外国の人にもわかるようにとの計らいです。JISマークのほか、様々なユニークなトイレマークを観光施設などで見ることができます。日本ばかりでなく旅先の外国で見つけたトイレマークを紹介します。
第54回屎尿・下水研究会例会報告
私の見たユニークなトイレマーク
平成20年12月4日(木)、標記のタイトルでの講話会を東京・新宿のTOTO新宿ショールーム・会議室(プレゼンテーションルーム)で実施しました。講師は当会会員の関野勉氏です。日本および諸外国を旅したときに眼にしたユニークなトイレマークについて、お話していただきました。講話の骨子は次のとおりです。
@ トイレのある場所とその男女別を示すトイレマークは、国、地域など設置者によって大きく異なる。男女別のマークの色が同じで、しかも文字のみだったりすると、区別が分からず困ったことがたびたびあった。
A トイレマークのみを集めた本には、スペインで刊行された写真文庫「LADIES & GENTLEMEN MUNTADAS」や大熊昭三著「トイレマーク見てある記」(文芸社)がある。
B トイレの呼び名も国、地域により様々であるが、一例を挙げれば、
Honey bucket、 closet、 Latrine、Lizzie Loo、
The gun room、 Gong house など。
C 国際トイレサミットで、イギリスのトイレ協会が作ったパンフレットには「Loo(ルー)」という言葉が使われていた。これは日本で言えば「雪隠」や「厠」の類の言葉で、普段はあまり使われていない言葉である。
D Toilet(トイレット)という言葉を発すると、どこの国でもその場所を教えてくれた。この言葉の語源はフランス語のToiltte(トアレット)で、本来、「テーブルの上に敷いた小さい布」を意味する言葉(トアル)の愛称だとのこと。
E 外国では、レストランなどのたくさんの人が集まる場所でも、男女兼用のトイレブースが一箇所しかないという処がしばしばある。
F インドのあるレストランでは、一つのトイレブースの中に形式の異なる三つの便器(男性の小便用便器、洋式便器、トルコ式便器)が並んでおり、宗教あるいは人種により自分に合った便器を使用できるようになっていた。インドでは、このような処を何箇所かで目撃した。
G 北欧・フィンランドのホテルで見た、二階に上る階段の下のトイレの扉にあった「出っ張りを持った立体的な木造のトイレマーク」は、私が見た中で一番ユニークなものである。目の悪い人でも触ると分かるものであった。男性の絵と女性の絵のそれぞれに、男にはGENT'S、女にはLADIESの文字が添えられていた。
H ポルトガルのサンデマンという酒蔵で見たトイレマークは、酒のラベルと同じマークが表示されていた。男性用は黒マントを着ている絵で男と分かるように「M」という文字が添えられ、女性用は顔が見える絵で赤色を使い「F」という文字が添えられているものである。そして、二つのブースの真ん中には「WC」と表示されていた。
I トルコのレストランで見たトイレマークは、男性用は便器の前に立っている絵にパイプを添えた、また、女性用は女の子が便器に座っている絵にハイヒールを添えた表示であった。
J イスラム圏では偶像崇拝が禁止されているので、絵に人間とか動物が出てくるのは珍しいが、モロッコのホテルのトイレマークでは、ずばりイスラム風衣装の男女の顔が使われていた。
K インドのホテルでは、トランプの王様と女王様の絵をそのままトイレマークに使い、男女の区別をしていた。文字は一切使っていない。
L ロシアのスズダリで見たのは、WCの文字の左にステッキを持った男性の絵を、右にロングドレスの女性の絵を配置したマークであった。また、文字を全く使わず男女の服装のみで表示したトイレマークもあった。
M 日本においても様々なトイレマークが使われてきたが、公共、一般施設のトイレを示すマークがJIS(日本工業規格)により統一されたのは、平成14年(2002)になってからである。群馬県の公衆トイレには、JIS化される前のものと思われる「男女を擬人化」したマークを見たことがあります。
屎尿・下水研究会幹事 地田修一 記