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第40回 屎尿・下水研究会

トイレマナーとトイレ文化

関野 勉 氏

 まだまだ寒い日が続きますが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 このたび『屎尿研究会』が名前を変更して新たに、『屎尿・下水研究会』となりましたが、今まで同様変わらぬお付き合いをお願いいたします。さて、恒例の例会ですが、下記の通り行いますので、奮ってご参加ください。
                   記
日時:平成18年3月17日(金)午後6時30分より
場所:東京・飯田橋の東京ボランティア・市民活動センター B会議室
   電話 03-3235−1171
   (セントラルプラザ 10階)
講師:関野 勉 氏(本会会員)
演題:「トイレマナーとトイレ文化」
  民族や文化によって異なるトイレのマナーを紹介します。
交通:JR・地下鉄 飯田橋駅下車1分




トイレマナーとトイレ文化

関野 勉

 平成18年3月17日(金)、東京・飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターで「第40回屎尿・下水研究会例会」が開かれました。演題は「トイレマナーから見るトイレ文化」で、関野勉氏(本会会員)が10年来温めていたテーマです。最近、新聞各紙がトイレのマナーについての記事を相次いで載せるようになったことに触発され、改めて調べ直してみたとのことです。
 キリスト教の旧約・新約聖書、インド・ヒンズー教のマヌ法典、イスラム教の伝承集成であるハデイース、仏教の正法眼蔵などの教典や、水洗トイレのはしりの頃のトイレマナーに関する文言を拾い集めた上での講話であり、長年の薀蓄を傾けたものでした。以下にその骨子を紹介します。
 @ 旧約聖書の申命記に、「用を足す時、武器と共に鍬を備え外に出て、かがむ時、それをもって土を掘り向きをかえて、出たものを覆わなければならない。」とある。
 A 新約聖書のマタイ伝に、「なんじらも今もなお悟りなきか、凡そ口に入るものは腹にゆき、遂に厠に棄てられる事を悟らぬか。」とある。
 B マヌ法典に、「決して、風、火、ブラーフマナ、太陽、水あるいは牛を見ながら大小便を排泄してはならない。」とある。
 C ハデイースは、預言者ムハンマドの語った言葉として「厠に清めの水を置くこと。水で洗うこと。右手で洗うことの禁止。」を伝えている。また、イスラムの排泄の心得として、「排泄の時、体の前面がメッカに向いたり、背を向けたりしてはならない。」がある。
 D 正法眼蔵に、「用を足した後は、竹のへらを使えばよい。また、紙を用いることもあるが、ほご紙、文字の書いてある紙はいけない。」とある。
 E 「ビルデング読本」には、水洗化トイレの黎明期を反映して事細かな注意事項が列挙されている。例えば、「腰掛け式の大便器には、入り口の方を向いて必ず腰をかけること。」、「大便器の中には、大便用の紙以外に何も棄てぬこと。」など。
 F 第二次大戦中の昭和18年に書かれた「しつけの科学」に「朝起きたら、直ちに小用ばかりでなく用便をする。」、「便所の草履下駄は、後から行く人のはきよいようにそろえること。」などと、便所の使い方が載っている。
 G 戦後、水洗化トイレをきれいに保つため日高家では、こんな張り紙をトイレにしたそうです(「エチケット」(日高夫妻著、昭和33年刊))。「御使用後は、かならず水をたくさん流してください。水が美しく澄むまで、落ち着いて根気よく流してください。紙は、備えつけた紙を使い、それ以外のものは便器に流さないで、かならずうしろにある器の中に入れてください。おたがいに気をつけて、便所を美しくたもってください。日高艶子」。
 昨今は、水洗化トイレが普及し目の前から汚物が見えなくなることで、事足れりとしているが、このようなトイレマナーの多様性を考えるとき、そこに文化の違いの奥深さを感じざるを得ません。

(地田 修一 記)