発表タイトル
分科会
屎尿・下水研究会
第23回 し尿研究会の定例会
日時 2003年10月31日(金曜日)18時30分から20時30分
場所;セントラルプラザ 10階 会議室
講演者:佐々木 裕信 氏(日本環境整備教育センター)
講演タイトル:「浄化槽法制定の経緯と現状」
内容: 昭和58年に法律としては巨大な浄化槽法は単独に成立した。この法律が、その後社会に及ぼした影響について、そして我々は今後どうすべきかについて、浄化槽法の制定の意味を考える。
第23回し尿研究会例会報告
「浄化槽法制定の経緯と現状」を第29回定例研究会とのジョイントで行いました。
浄化槽法が制定されてからちょうど20年を迎え、浄化槽をとりまく状況は大きくかわりました。
当初のこの法の目的は、単独処理浄化槽の適正管理にありましたが、平成12年の法改正により合併処理浄化槽のみが浄化槽として規定され、従来の屎尿のみを単独で処理する浄化槽の新設は原則的に禁止されるに至りました。本講演では、この間の経緯を語っていただきました。
浄化槽法制定の経緯と現状を聴いて
10月31日(金)、東京ボランティア・市民活動センターで第23回し尿研究会兼第29回定例研究会が行われました。お話は(財)日本環境整備教育センターの佐々木裕信氏をお招きしてご講演いただきました。18時30分から始まりましたが、たっぷり2時間の熱演でした。
この日のために改めて資料を探し、見直し、整理して書き溜めたことを、まったく休み時間も無くお話してくださいました。資料を整理し、全体の流れを作りお話を組み立てられていました。まさに新作落語の世界です。
浄化槽法は、浄化槽の製造から設置、維持管理に至る一連の体系を制度化したものです。当初の目的は、単独処理浄化槽の適正管理にありました。しかし、門外漢にとっては不思議な法律です。廃棄物に関する法律でも、下水道法でも法律の起源があって時代に合うように変わっていきました。しかし浄化槽法はわずか20年前の昭和58年に制定されましたから、突然世に出てきたような気がしてなりませんでした。
確かに当時は、汚し賃の問題や放流同意で周辺の住民とのトラブルが多く発生したそうです。水質汚染を食い止めるために設置された私的構造物でありながら、生活環境の向上といった公共性を有する浄化槽を何らかの形でコントロールするために、法と技術の両面での仕組みを構築する必要があったという時代背景を理解することができました。
法の施行時にはすでに浄化槽が500万基以上も設置されており、制度を作る前に実態ががっちり出来上がってしまっていたのです。このため、従来の法律や概念の下では、複雑化していた各方面からの利害などの調整も難しくなっていたようです。
この法律が、既成の立場から離れた位置で草案された「議員立法」だということをはじめて知りました。
その後、今日にいたるまで、下水道の末普及地域に浄化槽は定着してきました。平成12年の法改正により合併処理浄化槽が浄化槽として規定され、従来の単独処理浄化槽の新設は平成13年4月1日より原則的に禁止されるに至っています。
本講演では、法律制定の前後における関係者のご苦労とその過程についての「なぞ」に対する「答」が語られていました。初めて参加しましたが、奥の深い話で余韻が残りました。
(岩本 宏一 し尿研究会会員)
浄化槽法制定の経緯と現状
佐々木 裕信 (財)日本環境整備教育センター
1 浄化槽法制定20年
2 清掃法時代
3 廃棄物の処理および清掃に関する時代
4 浄化槽法時代
5 浄化槽の現状と今後の課題
1 浄化槽法制定20年
ただいまご紹介いただきました佐々木です。今年は浄化槽法が昭和58年に制定されてからちょうど20年を迎えます。浄化槽法の制定によりまして、浄化槽の適正な施工や維持管理が図られ、小型合併処理浄化槽の技術開発が実用化され、国による補助事業や融資制度が設けられるなど浄化槽の普及の充実が行われました。さらに、平成12年6月には浄化槽法の一部改正が行われ、浄化槽の定義を変更し、浄化槽とは合併処理浄化槽のみを指すこととなりました。また、同じ年、建築基準法が大幅に改正され、浄化槽の性能規定化が行われるとともに、構造基準から単独処理浄化槽の構造を削除するなど、浄化槽をとりまく状況は大きく変わってまいりました。
私ども日本環境整備教育センターは昭和41年に創立以来、今日まで浄化槽に関する調査研究、浄化槽関係技術者の養成、浄化槽の普及啓発など浄化槽とともに約40年近く歩んでまいりました。これから浄化槽法制定の経緯を申し上げますが、大きく分けて清掃法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、それから浄化槽法の時代別に順追ってお話ししたほうがわかりやすいと思いますので、その順序で申し上げます。
2 清掃法時代
昭和30年代後半から40年代にかけてはおおむね食と衣は解決したものの住についてはその頃外国からウサギ小屋と言われたぐらい量はともかく質の点においては多くの問題を残す住宅事情であったと言われていました。このころのわが国の環境衛生の状態について当時の厚生省環境整備課長は「すでに文明国、先進国の域に達しているわが国において未開発国に特有の疾病である赤痢や腸チフスなどの発生が年間5万人を超えているということは、他のあらゆる分野に比べて著しく調和に欠けている状態である。医学の目覚しい進歩を見た現在、なおこの状態から脱却し得ない根本的な原因は、し尿や汚水の不完全な処理にある。水洗便所が国民の15%にしか普及していないことは教育が世界水準にあるのと全く対照的である。」と指摘しています。
それゆえ、昭和60年を目標に1億総水洗化を図ろうとしました。昭和40年代前後、高度経済成長に支えられ、人口の都市集中、都市近郊における住宅の近代化は進み、文化生活への憧れは高まり、3C時代の到来と言われました。車、クーラー、カラーテレビが3種の神器としてもてはやされ、快適な文化的な生活をモットーにトイレの水洗化も増加の一途を辿ったわけです。
このような状況のなか、昭和38年には「生活環境施設整備措置法」が制定され、昭和40年には「第一次生活環境施設整備5ヵ年計画」と「第1次下水道及び終末処理場整備5ヵ年計画」が決定されました。この計画では、下水道人口を昭和38年度の550万人から昭和42年度には2500万人に、浄化槽人口を同じく434万人から560万人とすることとされましたが、実際には下水道人口は141万人分(計画の十分の一以下)増加したにとどまる一方、浄化槽人口は446万人分(計画の3.5倍)も激増し、下水道人口を上回ることとなったわけです。その後も下水道人口と浄化槽人口は昭和50年代後半までほぼ拮抗する形で増大し続けました。
さらに、昭和44年には建築基準法の一部改正が行われ、屎尿浄化槽の構造基準が定められ、FRPを素材とした浄化槽が開発されました。従来浄化槽は現場打ちやコンクリート管組立のものがほとんどであったため、軽量でコンパクト、設置面積もわずか、設置工事の簡便さおよび維持管理も簡単と言う謳い文句と住宅ブームにのって設置基数は大幅に伸びました。
しかし、浄化槽の施工や維持管理は必ずしも満足すべき状態ではないため、水質汚濁等の環境汚染の元凶とも言われました。住民からは「1億総水洗化も結構だが、現実に起きている浄化槽による環境汚染はどうするのか」と言う声も聞かれ、環境衛生上大きな問題点として社会問題化し、浄化槽の新設を抑制すべきであるという議論まででてきました。これに対して、厚生省は浄化槽の急増は国民の絶大な世論の反映であり、汲取り便所よりはるかに衛生的、健康的である以上浄化槽の抑制はむしろ暴論であり、浄化槽による弊害を取り除くための対策を強化すべきであると主張していました。
その対応策は、ばっ気型浄化槽の開発と浄化槽の維持管理強化策でした。その一環として昭和40年清掃法の一部改正が行われ、維持管理体制の強化が図られたわけです。つまり、処理対象人員501人以上の屎尿処理施設(浄化槽を含む)は維持管理責任者として技術管理者(市町村職員)を任命しなければならないこととなっていましたが、処理対象人員500人以下の浄化槽に対しては、特に維持管理責任者を任命することは実際問題として困難であるため、これらの施設については専門的知識を有する民間業者に委託して維持管理にあたらせることが定められました。
このように当時、屎尿処理、浄化槽に関しては、厚生省は都道府県の職員の教育は国立公衆衛生院が担当し、市町村の職員に対しては財団法人日本環境衛生センターが、民間業者に対しては教育センターが教育を実施することが基本的な考え方であるとされました。
その後、厚生省は浄化槽維持管理要綱、浄化槽維持管理作業基準、し尿浄化槽管理業条例準則などを制定し、全国的な浄化槽の維持管理体制をとることとしました。それまではほとんど放任状態におかれていた浄化槽の維持管理について従事する者の技術資格を定めるとともに、その業務を清掃法により市町村長の許可を要するものとしたわけです。
清掃法の一部改正によって、浄化槽の維持管理業と定義し、今までの汲取り業と区別して清掃法に規定する許可業とすることがトイレの水洗化に伴う清掃業者の業務縮小を補完する上で、浄化槽行政にとっては非常に重要な施策であったといわれました。
3 廃棄物の処理および清掃に関する時代
次に当時の浄化槽の現状についてお話しますと、浄化槽は急速に増加してきましたが、反面、公共用水域の水質汚濁源として、また、悪臭、騒音等の問題を引き起こすなど地域住民間でトラブルの原因ともなり、浄化槽公害といわれたようにあたかも浄化槽が諸悪の根源であるかのような言い方さえされるような状況であったそうです。
公害国会といわれた昭和45年12月の臨時国会において厚生省は、清掃法を全面的に改正して新たに廃棄物の処理及び清掃に関する法律を制定し、昭和46年9月から施行しました。これを機に浄化槽の維持管理は「保守点検」と「清掃」に分離されたわけです。また、その前年には、建設省は建築基準法の一部改正を行い、構造基準と処理対象人員算定基準を告示しました。
これにより浄化槽は構造と保守点検、清掃の一体化が図られたわけです。もともと、処理対象人員500人以下の浄化槽の維持管理については従来より清掃業者がその業務に携わっていたわけですが、廃掃法により保守点検業務と清掃業務が分けられたこともあり、保守点検の実施については清掃業者のほか施工業者においても可能となったものの、浄化槽の施工に対する規制は明らかでないため浄化槽に関する知識・技術のない者が施工して問題となり、例えば、浄化槽が水平に設置されていなかったり、流入管と流出管を取り違えたり、勾配が正しく取られていなかったり、基礎工事が粗雑であったり施工不良に伴うトラブルがでていました。
廃掃法施行規則では保守点検は、「正常な機能を維持するため、必要に応じ専門的知識、技能及び相当の経験を有する者による点検を受けること」とされ、清掃については「機能点検及び清掃に関する専門的知識、技能及び相当の経験」が浄化槽清掃業の許可の技術上の基準に適合する能力として位置付けられました。そして、この専門的知識・技能を有する者とは「厚生大臣の認定する講習会の課程を修了した者であって相当の経験を有するもの又はこれと同等以上の能力を有する者」とされ、従来どおり教育センターの講習会が改めて認定され、保守点検と清掃の専門コースを新たに設け、実施することとなったわけです。
一方、施工不良に伴うトラブルについて具体的には何が問題であったかと言うと、無届浄化槽が多いこと、施工上維持管理ができない浄化槽が多いこと、不良工事が原因で機能が発揮されないものが多いこと、構造上到底予定された高度の機能が発揮されないものがかなり存在するなど大別されました。寸法さえ基準に合っていれば、誰が、どこで、何を作ってもよいと言うのが当時の現状であり、その結果は浄化槽の機能が保持されず、水質汚濁源のひとつとなっていたわけです。
このため、浄化槽の施工に法的な資格を付与し、その有資格者のみに施工を許可するようにしてほしい旨の建議、要望、陳情が浄化槽関係業界や地方公共団体から相次ぎ、昭和46年、浄化槽施工士講習会が厚生省・建設省の行政指導として行われることとなりました。しかし、管工事業界との間に難題が降りかかったわけです。管工事業界としても浄化槽の施工が問題となっており、その技術のレベルアップを図る意味で講習会を実施すると言う趣旨は十分理解するものの、管工事業界が運動した結果として建設省より管工事施工管理技術検定が実施されようとしているところへ浄化槽施工士講習会が実施され、修了者に優遇措置が講ぜられるような動きがあることは業界に混乱を招く恐れがあるとして建設・厚生両大臣に陳情したわけです。これに対して教育センターは、浄化槽施工士講習会は勉強会ではなく、建設・厚生両省から依頼されたものであり、浄化槽の施工の自主規制を目的に実施しており、地方公共団体はこれによって浄化槽の施工の秩序維持に努めている実態を説明し、理解を求めました。
建設業法に基づく管工事施工管理技士は建設業法のうち管工事として位置付けられる範囲を一括することが目的であり、浄化槽施工士は浄化槽の工事に対応する技術力を身につけることが目的とされていました。よって、浄化槽施工士は営業資格ではなく、現場で直接作業にあたる工事監理の資格であり両方の資格があっても矛盾はないとされました。さらに、当時、各行政庁は独自に公害、防災、防火あるいは環境衛生上の業務にあたっては一定の技術資格者でなければならないとされていました。
したがって、管工事施工管理技士は管工事の総合資格としての位置付けであり、浄化槽施工士は専門資格としての位置付けであると言われました。同様に建設省建築指導課長も浄化槽施工士は現場施工の資格者であり、請負業者の資格等建設業には何ら関係のないものである。一方、管工事施工管理技士は建設業の請負などに要する資格であるので両者は全く性格の異なる資格であって、両立しても別に矛盾するものではないという見解でありました。
また、浄化槽の設置あるいは維持管理に対しては、設置に伴う検査は建築基準法により建築主事が行うこととなっており、設置後の維持管理に伴う検査は廃掃法により環境衛生指導員又は保健所が行うことが定められていました。しかし、実際は建築主事による浄化槽の検査はほとんど行われておらず、確認申請だけで済まされていた状況でしたので、実際何が設置されているのかわからないと言うのが現状でありました。無管理状態で垂れ流し同然の浄化槽も少なくなく、このような浄化槽に対しては環境衛生指導員なり、保健所が本来ならば立入検査をすべきでありましたが、膨大な数の浄化槽に対しては不可能でありました。
そこで、厚生省は、昭和55年1月より処理対象人員500人以下の浄化槽について行政の補完として1年に1回定期的に地方公共団体の機関または厚生大臣の指定するものによる検査制度を導入し、浄化槽の維持管理面の強化を図ることとなりました。
4 浄化槽法時代
このように、浄化槽に関する制度の体系は複雑であり、当時揶揄して「浄化槽は建築基準法という上着を着て、廃掃法というズボンをはいて、水質汚濁防止法という帽子をかぶり、上着もズボンもレディメードで浄化槽の適正な普及を前提として作られた法律でないため、いずれも体にビッタリと合っていなかった。」とさえ言われました。
そこで、法体系の未整備を改善し、浄化槽による公共用水域の水質汚濁防止、浄化槽行政の一元的運営と浄化槽の工事業・保守点検業等浄化槽関係者の責任を明確にするための身分資格を目的とした「浄化槽法」の制定を目標に各都道府県の浄化槽関係団体が結集し、昭和52年5月全国浄化槽団体連合会が結成されました。その後、昭和54年1月全浄連においてまとめた「浄化槽法案要綱試案」をたたき台として立法化が進められました。
昭和53年6月、浄化槽対策議員連盟が発足し、当初は政府提案ということでありましたが、浄化槽行政が関係省庁の権限が多岐にわたり複雑に係わっており、関係省庁により実現することは困難と見られたため、国会議員による立法化が検討されたわけです。
しかし、浄化槽関係業界は浄化槽についての総合化・一元化された法制度が必要である点では異論はなかったものの、各業界に関係する部分では利害が絡み合っていたため意見の調整に手間取りました。
そのひとつは、管工事業界からの浄化槽設備士制度の制定に反対する主張。さらには清掃業界の一部分が浄化槽の保守点検業の登録に反対する主張。同じく、清掃業界からは浄化槽の清掃回数の義務付けを法律に明記する主張の3点でしたが、最後まで難航したのが保守点検業の登録反対の主張でありました。
浄化槽法案要綱も昭和55年8月の第1次案から6回も検討が重ねられ、最終案としてまとまったのが昭和57年8月でありました。その間、浄化槽法の早期実現を願っておられた全浄連の柴山大五郎初代会長は「浄化槽法が国民生活の向上と水環境保全に必要不可欠な法律であると認識し、水道法、下水道法とともにわが国の水関係の3大法律になると信じ、成立に努力してまいります。」と決意を新たにされていました。
昭和57年8月第96国会に正式に「浄化槽法」が議員立法として提出され、翌年第98国会において法律第43号として「浄化槽法」が成立したわけです。
昭和56年には第2次臨時行政調査会いわゆる土光臨調が設けられ、2年間にわたり行政制度および行政運営について行政改革を推進している最中に11章本則64条附則16条からなる議員立法は稀な大法案であったといわれました。浄化槽の幕開けに伴い、浄化槽の製造、設置、保守点検および清掃について規制が強化され、浄化槽の設置等に関する者の責任と義務が明らかにされるとともに、その身分資格が確立され、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図る措置が講じられたわけです。すなわち、浄化槽工事業および浄化槽保守点検業の登録制度や浄化槽清掃業の認可制度が整備されるとともに浄化槽設備士と浄化槽管理士の国家資格などが創設されました。したがって、従来浄化槽がもっていた安かろう、悪かろうのイメージを早く払拭し、水環境の保全、快適生活の創造に大きく貢献することが期待されました。
浄化槽法が制定されてから浄化槽関係技術者は浄化槽設備士、浄化槽管理士、浄化槽技術管理者、浄化槽清掃技術者、浄化槽清掃実務者と浄化槽検査員の6種類となったものの、日進月歩する浄化槽に関する知識・技術を身に付けて日常の現場に生かすためにはこれら既存の資格者に対して新しい技術を得るための再教育の必要性が浄化槽関係業界から要望され、小型合併処理浄化槽、農業集落排水施設や高度処理型浄化槽などの維持管理技術に関する講習会を平成元年から行っています。
その後、資格制度における試験事務などの民間委託による民間団体の行政代行的行為などについて指導監督基準・委託等に関する基準が定められたり、公益法人に対する行政関与のあり方が示された結果、省令に基づき行われていた浄化槽関係認定講習会については環境大臣の認定いわゆるお墨付きを廃止し、資格要件の見直しが行われる一方、浄化槽管理士講習会と浄化槽設備士講習会の免除科目・時間数が検討され平成15年度から実施しています。
5 浄化槽の現状と今後の課題
それでは最後に浄化槽の現状と今後の課題について申し上げたいと思います。
浄化槽の設置基数は平成14年3月現在で882万基あり、そのうち約80%が単独処理浄化槽で705万基あり、残り20%が合併処理浄化槽で176万基あります。そして、平成15年3月現在の汚水処理人口普及率は全国平均で75.8%ですが、全国の86%を占める5万人未満の市町村ではその普及率は53%と低い状況です。浄化槽法制定時と現在を比べてみますと位置付けや設置基数および設置ならびに維持管理の主体が様変わりしてきました。
しかし、現在でも単独処理浄化槽が80%もあり、生活雑排水が垂れ流されている状態は早く直さなければならず、そのためには浄化槽の整備計画の策定事項、浄化槽の設置・維持管理から汚泥処理までの国および地方公共団体の責務事項、単独処理浄化槽の合併化を含んだ法律補助に関する事項、浄化槽設置者責任の見直し事項および罰則強化事項を浄化槽法のなかに含むことや浄化槽の知名度を上げるための積極的なPRの必要性が早急に見直しされることが課題ではないかと思います。
これで私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。