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第12回 し尿研究会の報告

屎尿汲み取り業のてん末

高杉 喜平



 9月14日(金)18時30分より東京・飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターで高杉喜平・由江ご夫妻を講師に迎え、「屎尿汲み取り業のてん末」と題 して講話していただきました。あらかじめ、標題の覚書きを資料としていただいていましたので、会員の皆様には事前に目を通してもらっていました。そのため でしょうか、話の途中で質問が飛び出したり、逆に講師から「なにか聞きたいことが他にありますか」との誘いの発言があったりと、双方向でのやりとりがあり アッというまの2時間でした。
 両講師の絶妙のコンビネーションの役割分担のもとに、汲取り業を立ち上げ、会社組織にして業務を拡大し、またその後の社会状況の変化に的確に対応してきたことが、話の端々からうかがわれました。話の骨子は次の通りです。
 @ 戦後、復員して家業の農業に従事したこと肥料が不足していたので自給自足のため、荻窪、高円寺方面のし尿の汲取りを開始したこと。
 A やがて、他の農家からし尿の需要があり、余分のものを売却し始めたこと。
 B 次第に専業の性格を強め会社組織にしたこと。
 C 汲取り料をとるようになったこと。
 D リヤカーから馬車を経て三輪トラックへ、やがてバキュームカーを購入したこと。
 E 農家からの需要がなくなり、素掘り穴処分地を確保し汲取りし尿を投棄するようになったこと。
 F 自治体とのやりとり。
 G し尿処理場への搬入と素掘り穴処分地への投入とを併用したこと。
 H 下水道の普及につれた汲取り量の減少。
 I 下水処理場のメンテナンスや廃棄物の運搬・処理処分へ業務をシフトしていったこと。
 J 現在も、し尿の汲取り業をわずかではあるが継続しており、震災時に備えてバキュームカーを確保していること。

写真:し尿研究会(第12回)の講演者を囲んで