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廃棄物分野の海外技術協力である「クリーンダッカ・プロジェクト」に携わって
 第51講:廃棄物収集を数理工学的アプローチで解析するということは内部牽制,自己統制及び自浄作用その2

講話者:石井明男*

コーディネーター 地田 修一

2 行政施策の軌道修正の原動力となっていった内部けん制,自己統制及び自浄作用

 トップダウンの国ではあるといっても,トップが政策・行政判断を一人でしているわけではない。明確な手続きがあるわけではないが,外部からは見えにくいが合意形成のプロセスがある。
 また,実施の過程で起こる予期せぬ変化を,外部の力を借りて政策を権威づけて元に戻すときもあるし,内部けん制で活動を軌道修正している様子が見え隠れしていたので,いくつかご紹介したい。委員会を作る,また,外部の助言を求める方法がとられたが,ダッカ市では効果がある場合もあるし,長続きはしなかった例もあったように見受けられた。
 しかし,廃棄物管理局は,プロジェクトの助言やプロジェクトで実際に実施した活動の中で学んだ内部けん制力が生ずる仕組みを作り,芽生えさせて軌道修正している様子もうかがえた。
 この内部の力による軌道修正はODAの目指す自立発展や自助努力によるプロジェクトの推進という視点からも着目するべき点である。
 今回も現地で調査した結果をいくつかご紹介する。今回分かったドキリとするような活動事例があることも分かってきた。

表2 ダッカが廃棄物管理改善で利用した内部けん制,自己統制,自浄作用の例その2





住民を交えた行政のモニタリング委員会

各区による分散管理の効果に関する評価会議

本稿の終わりに

 現地で調査した結果,ダッカ市の廃棄物管理局は,活動の中に内部けん制力が生ずる仕組みを作り,自身ではできない軌道修正をしている様子がうかがえるいくつかの事例をご紹介した。
 事例は現地調査でのヒアリングと「バングラデシュ国南北ダッカ市廃棄物処理改善技術協力プロジェクト(延長)」を参考にしてまとめた。
 いくつかのことに気が付いたのでここにまとめたい。
 @ダッカ市では局間,部門間での対立が激しく,思い通りに進まないが,巧みに外部機関や委員会を利用して活動を進めている例があった。その戦略は,意図的ではないかもしれないが効果があるように見受けられた。様々な試行錯誤により,学習した発展途上の仕組みかもしれない。
A外部の人間で構成される委員会は短命だが,委員会の討議結果はバングラデシュでは尊重されていた。日本人がたびたび現地で実施していた外部のプロジェクトに理解のある有識者で構成される委員会から学んでいた。外部の有識者もプロジェクトへの参加を要請し,多くの委員会に招へいし,それによって同時にプロジェクトが生んだ結果が,この風土を作っていった。


参考文献
1 国際協力機構 バングラデシュ国南北ダッカ市廃棄物処理改善技術協力プロジェクト(延長) 2013


※元東京都清掃局,元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元スーザン国ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元パレスチナ廃棄物管理能力強化プロジェクトフェーズU総括,現東洋大学大学院博士後期課程,元南スーダンジュバ市廃棄物処理事業強化プロジェクト総括