<<
屎尿・下水研究会

TOP

屎尿・下水研究会の概要

お知らせ

発表タイトル

特別企画

企画図書類

更新履歴


読み物シリーズ


シリーズ ヨモヤモバナシ



廃棄物分野の海外技術協力である「クリーンダッカ・プロジェクト」に携わって
 第50講:廃棄物収集を数理工学的アプローチで解析するということは内部牽制,自己統制及び自浄作用その1

講話者:石井明男*

コーディネーター 地田 修一

 ダッカ市に廃棄物管理局を設立し,さらに各区(ワード)に廃棄物管理ができるような組織と構造にしたが,この新しい組織と制度が自立発展し,成長するために,クリーンダッカプロジェクトでは組織自身の持つ軌道修正能力がなくてはならなかった。
 内部の持つ力で自動的に軌道修正をする内在力,つまり内部牽制,自己統制,自浄作用のような力を利用する必要があった。
 ODAのプロジェクトでは特にこの内部牽制,自己統制,自浄作用が働くような条件や仕組みが必要ではないかと考え,とくにこのダッカ市の廃棄物プロジェクトではこの力を生ずる仕組みを仕掛けてみた。今回,この効果についても現地での調査を行っている。
 本稿ではダッカ市で行った内部牽制,自己統制,自浄作用が働くような仕組みと効果について記述する。

1 廃棄物収集を数理工学的アプローチで解析するということは

 通常は廃棄物収集を数理工学的アプローチで解析するというときは,廃棄物収集活動をモデル化し,数理工学的に解析するというプロセスで行われる。
 ところが,ここでは通常のアプローチとは少し異なる数理工学的アプローチをせざるを得なくなったが,後述するがこのメリットが大きかった。
 よく考えると廃棄物収集活動をモデル化するときには,廃棄物収集活動を既存のモデルを使って作成するが,それでは我々には捉えにくい動きを持っているので,モデル化するときに,その見えない活動を見落としてしまう。簡単にはとらえられないプロジェクトの振る舞いがあるのである。
 そこで,現在試みているのは,第49講で考えたモデルを数式化すると,通常では現れにくいパラメータがあらわれるのがわかる。では,そのパラメータは実社会の活動では何に相当するかを考えると,興味深いことがわかる。
 ここでは,廃棄物収集活動をモデル化し,そのビヘイビアを数式で表現した。現時点では数式は省くが,ここで現れる変数の一つが「揺らぎ」である。廃棄物収集改善活動で,どのような活動がゆらぎに相当するか,その果たしている役割は何かを考えると,複雑な側面を持つ活動が内部で進展したり不適切な方向に発展することがあるが,ダッカ市の廃棄物処理改善で利用した内部あるいは自己で持つ修正能力で軌道修正していった内部牽制,自浄作用についてその効果を知ることができる。表1 ダッカは廃棄物管理改善で利用した内部牽制,内部統制,自浄作用の例(その1)にまとめてみた。

表1ダッカは廃棄物管理改善で利用した内部牽制,内部統制,自浄作用の例(その1)





多くの市民の目にさらされる活動1

多くの市民の目にさらされる活動2

多くの市民の目にさらされる活動3

多くの市民の目にさらされる活動4

本稿の終わりに

 今回から3回にわたり,内部牽制や自浄作用について記述したい。
 廃棄物収集活動をモデル化し,そのビヘイビアを数式で表現した。数式は省くが,ここで現れる変数の一つが「揺らぎ」である。廃棄物収集改善活動で,どのような活動がこの「ゆらぎ」に相当するかを考えて見ると,複雑な側面を持つ活動が,進展したり不適切な方向に発展することがあるときに生じて,ダッカ市の廃棄物処理改善を軌道修正したりしていることがわかる。ここで利用した内部,あるいは自己の持つ自己修正能力で軌道修正していった。
 東京都でも内部牽制という言葉があったが,具体的のどのようなことが内部牽制かを整理した文書を見たことはなかった。 ことによると会計監査や服務監査のようなことを指していたのかもしれない。しかし,事業の推進の内部牽制や自浄作用をしていく活動として存在していたし,利用していた。


※元東京都清掃局,元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元スーザン国ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元パレスチナ廃棄物管理能力強化プロジェクトフェーズU総括,現東洋大学大学院博士後期課程,元南スーダンジュバ市廃棄物処理事業強化プロジェクト総括