読み物シリーズ
シリーズ ヨモヤモバナシ
廃棄物分野の海外技術協力である「クリーンダッカ・プロジェクト」に携わって
第47講:「クリーンダッカプロジェクト」について様々な研究 その2 プロジェクトのリスク −キラーアサンプシヨン,カントリーリスク.そして活動を妨げる潜在的要因−
講話者:石井明男*
コーディネーター 地田 修一
プロジェクト実現にあたり,事前の障害であるキラーアサンプションについては今回は割愛する。本稿では,筆者が経験したカントリーリスクの例と対応,そしてプロジェクトの進捗の障害について記述する。
多くの場合カントリーリスクはプロジェクトを一時的に停止するか,そこで中止する。また,クリーンダッカプロジェクトでは,プロジェクトの進捗に障害となったことと克服について記述する。まず,どのようなことがプロジェクトを進めるときに障害となっているかについても整理した。更に,障害になっていることについても記述したい。
1 カントリーリスクでプロジェクトが一時的に停止するか,そこで中止する例
筆者が経験したカントリーリスクでプロジェクトが一時的に停止するか,そこで中止した例を示す。
表1 経験したカントリーリスクの例
2 プロジェクトが止まるまでではないが,プロジェクトの進捗を妨げる内部の構造や活動について
クリーンダッカプロジェクトを実施していて,筆者の経験した活動を妨げる潜在的要因の例について及び克服の過程を記述する。
表2 プロジェクトの進捗の障害になった潜在的な事柄
現場職員のアイディアにより制作された狭小道路収集カート
地域の清掃活動を現場職員主体で管理している活動拠点の廃棄物管理事務所
頻繁に開催されている現場職員と住民との会議
ダッカ大学での公開講習会(左端が軍から派遣された当時のダッカ市廃棄物管理局長)
住民主体の道路のごみ拾いの清掃活動
地域主体のWBAの活動の中心となる,建設中の廃棄物管理事務所
本稿の終わりに
本稿では,プロジェクトのカントリーリスクのみならず,「プロジェクトの進捗に障害」を及ぼす情報も重要なので,両方をまとめた。
特に後者は表2 プロジェクトの進捗の障害になった潜在的な事柄としてまとめた。
表2 のプロジェクトの進捗の障害になった潜在的な事柄では,内容は一敗的な表現でいえば,ガバナンスが不十分という内容ではあるが,単にガバナンスということで表せる内容でなく,ガバナンスの実施を支える周辺の取り組みを示している。
現実のプロジェクト実施の進捗では,長年の経験に基づく解決策をとって乗り越えてきた。「プロジェクトの障害」の抑制は,通常「内部牽制制度を作り作用させる」ようにしたり,「自浄作用が働くような仕組み」を作ることもある。
興味がある方はご連絡下さい。
※元東京都清掃局.元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元スーダン国ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト総括.元パレスチナ廃棄物管理能力強化プロジェクトフェーズU総括,現東洋大学大学院博士後期課程,元南スーダンジュパ市廃棄物処理事業強化プロジェクト総括