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廃棄物分野の海外技術協力である「クリーンダッカ・プロジェクト」に携わって
 第41講:自己組織化を引き起こすプロジェクトの管理について

講話者:石井明男*

コーディネーター 地田 修一

90 組織管理の分類についてする

 組織を管理するタイプは,古典的分類ではあるが,大きく分けて,
@専制君主型,
A民主型,
B放任型
 に分かれる。その管理の特徴を大まかに表1に記述した。どの管理方法を導入するにしても前提があるが,その前提になる条件を表2に,そして,管理手法についてのまとめを筆者の経験に基づく一般的な内容で,自己組織化を創発する管理として表3にまとめた。
 自己組織化を引き起こすための管理方法としては,リーダーとメンバー,メンバー同士が互いに信頼関係が築けていて,メンバーに自己組織化を進めるだけの知識と経験があるという前提条件が整ったうえの放任型で自己組織化を進めることが望ましいと考えた。ダッカの廃棄物改善プロジェクト「クリーンダッカプロジェクト」を管理する上で重要なことは,活動を行う創造的営みが優先(重視)され,活動を包括していく管理態勢を作らないことが前提になる。さらに,システムはバランスを崩したり,混沌が生じても,できるだけその状態を保ちながら管理していくことも前提とする。この状態が秩序の源泉と考え,包括する活動にしていくことにしている。

表1組織を管理する管理のタイプに分類


91「揺らぎ」でプロジェクトが変化し,適応し,安定化を引き起こす管理方法を使ったダッカ市廃棄物管理プロジェクト

 バングラデシュ国ダッカ市廃棄物処理改善で実施した外部の変化に「揺らぎ」でプロジェクトが変化し,適応し,安定化を引き起こした管理の実施事例を表2にまとめた。

表2バングラデシュ国ダッカ市で実施した自己組織化を促し,推進していった活動内容


表3自己組織化を創発する管理


 バングラデイシュ国ダッカ市の意志決定はトップダウンである。下部組織であるダッカ市に新たに建設されたワード清掃事務所の清掃事務所長は表3に示した「自己組織化を創発する管理」により,各区の清掃事業を自分の意志で廃棄物事業を決めてゆくことを自身が知ることをめざした。
 清掃事務所長は,周囲を見て,自分の価値観で自分の判断力をもってものごとを決めてゆく力を身につけてほしいと考えた。
 収集システムを構築して,その後成長を促し,収集システムや仕組みが変わっていくためには,また,外乱に対して安定的で持続可能になるためには,管理方法として良い方法は,自己の変化や自己組織化によって発生する構造変化の出現を容認することである。

終わりに

 自己組織化の管理は,一種の「揺らぎ」を生じるようにすすめた。表3については多くの試行錯誤や紆余曲折でたどり着いた。その管理についての疑問は参考文献が有力なヒントになった。
 そして2007年から2014年には,この自主的な変化により社会変化(外乱)へ適用が進み,自主的な変化が秩序の源泉となって安定化していった実感があった。
 今後,この管理の成功の確認についての説明を行いたい。
参考文献
1 ベルグソン 創造的進化 岩波書店 訳 真方敬道 1973
2 ニーチェ 権力への意思(上,下) 筑摩書房 訳 原佑 2016



※元東京都清掃局.元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元スーダン国ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト総括.元パレスチナ廃棄物管理能力強化プロジェクトフェーズU総括,現東洋大学大学院博士後期課程,元南スーダンジュパ市廃棄物処理事業強化プロジェクト総括