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廃棄物分野の海外技術協力である「クリーンダッカ・プロジェクト」に携わって
 第37講:地域の特徴や慣習に適した収集形態の選定と実施その経緯 その2

講話者:石井明男*

コーディネーター 地田 修一

 前回と今回のテーマは,社会活動を数理工学的に解析するために,どのように表現するか。従来の調査では,多くの社会現象や社会活動を関係者のインタビューやアンケートを実施し,その結果をルーブリック法などで解析してきた。通常はアンケートやヒアリングを行い,それらのデータをもとに解析するのだが,基礎となる調査結果は,属人的で感覚的であることは否めないが正しいと暗黙の了解がある。
 クリーンダッカ・プロジェクトでも,データを数理工学的に取り扱えるようにして,プロジェクトの活動評価に十分に利用できるまでには至らなかっ,が,検討したことがある。
 利用しようとした分野は
@ 住民意識調査の解析
A 住民や職員のキャパシティ開発の成果の解析
B 多くの地域の慣習調査の解析
 その方法は,その町(地域)で見聞きした情報をできるだけ自由に文章にして,その中から重要な地域の情報を抽出して解析を行った。解析は,一つの物差しで評価することはせずに,地域毎に解析し評価した。
 このことについての考察は,本編の終わりに記述したい。




収集改善に活躍した日本の無償供与のコンパクター
世銀のプロジェクトで作った事断を改造したワード清掃事務所
容器による定時収集の住民説明会の様子
関係住民を集めた収集改善の住民会議の様子
コンパクタ一による定時収集導入時の様子
野菜市場のごみ収集を一変させたコンテナ収集の様子

本稿の終わりに

 バングラデシュダッカ市で実施した「クリーンダッカ・プロジェクト」では,ごみ収集に関してはプロジェクトの介入により,50か所の改善に取り組んだ。前回と今回でそのうちの18例の結果を示した。
 次回からは18例について,介入が成功し,新しい収集システムが定着し,発展していく原因は何かを前回と今回との文章から
 いかに解析に結び付けてゆくかを次の項目を例に考察したい。
@ 地域の慣習や文化の情報を適切に得られる方法はあるか
A 技術的に地域に適合した収集の導入ができたか
B 介入手順が適切であったか
C 職員啓発がうまくいき推進力になったか
D 住民啓発がうまくいき住民同士,職員間に信頼関係が強固にでき,信頼関係が推進力になっていったか
E 介入によって改善された収集システムが,どのようにして安定して発展したか
F 介入の前提に社会の「民主的な地方自治制度が必要だと考える」が,特に必要なのは社会を構成する市民や市役所の信頼性が必要だと考えた。そこで信頼性をお互いに確認する方法が必要であったのでそのためにWBAを浸透させてきたがその効果はどうであったか

 また,データを分析してゆく途中で各々の項目が相互に影響しあっていることで,時としては相互に高めあっている場合すらあるが,その複雑な挙動を解きほぐし解明する必要がある。次回からはこれらの疑問について触れてゆく予定である。
 今回の「終わりに」では解析の方法についても疑問を記述して終わりにしたい。


参考文献
1.石井明男:廃棄物プロジェクトにおける「創発」がプロジェクトの自己組織化に及ぼす影響についての研究 廃棄物資源循環学会研究発表会第32回 2021
2.石井明男,眞田明子 クリーンダッカ・プロジェクト ゴミ問題への取り組みがもたらした社会変容の記録(JICA プロジェクトヒストリィ)佐伯印刷 2017(H30廃棄物資源循環学会著作賞受賞)
3.バングラデシュ国ダッカ市廃棄物管理能力強化プロジェクト プロジェクト完了報告書(延長)2013JICA(国際協力機構)
4.スーダン共和国JICA環境管理門家報告書 2013JICA(国際協力機構)
5.スーダン共和国 ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト プロジェクト完了報告書JICA(国際協力機構)2017



※元東京都清掃局.元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元スーダン国ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト総括.元パレスチナ廃棄物管理能力強化プロジェクトフェーズU総括,現東洋大学大学院博士後期課程,元南スーダンジュパ市廃棄物処理事業強化プロジェクト総括