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廃棄物分野の海外技術協力である「クリーンダッカ・プロジェクト」に携わって
第16講:行政組織の中の技術職の役割とは

講話者:石井明男*

コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員)

 現在,ダッカ市の最終処分場はほぼ満杯である。残り僅かの埋立地を少しでも長く使うために「ごみ焼却炉の導入」が現実味を帯びてきた。ごみ焼却技術の出番である。そこで,政府主催のごみ焼却導入検討委員会が開催されたが,ごみ焼却導入の判断は廃棄物管理を実施する部署ではなく国で決定される。
 ダッカ市では廃棄物行政の意思決定には技術職が重要視されるようには見えなかった。

54 行政の中で技術職員が担当する業務について

 筆者が従事したバングラデシュ,インドネシア,パレスチナ,スーダンなどの途上国での技術職員がどのような業務をしていたかを以下の表に分類した。


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表 行政の中で技術職員が担当する業務

@ 業務内容1 施設設計,施工管理,建設業務に携わる職員:
(ア)多くの途上国では,組織的にも技術職員自身も建設業務だけを技術職員の業務と考えていることが多い。
(イ)実施業務:清掃事務所の建設,埋立地の建設,汚水処理場の建設,ごみの中継施設の建設など

A 業務内容2 施設の維持管理業務:
(ア)維持管理は技術職員の業務だと認識している国もあれば,維持管理業務は技術職員の業務だとは考えない国もある。
(イ)実施業務:埋立地の維持管理,汚水処理場の維持管理,コンポスト施設の維持管理,車両の維持管理など

B 業務内容3 環境政策への参画:
(ア)多くの場合,技術職員が行政の意思決定のための材料を用意するが,最終決定の権限がない場合が多い。
(イ)環境に関するデータ収集などを外注する事務を行うこともある。

C 業務内容4 技術開発,研究職:
(ア)新しい技術を開発実施,民間企業と共同開発する。
(イ)実施業務:汚水処理技術の開発,ゴミ分析方法の開発など

D 業務内容5 許認可,指導業務:
催したワード清掃事務所長(清掃監督員)は自信を失った。

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 問題は住民の苦情や質問や要求にワード事務所長が何もかも答えられる権限があるわけではないことである。権限についての理解が必要であり,具体的な行政的な手続きの理解が必要なのである。このような住民と清掃事務所長と意見が噛み合わないことが各地のコミュニティ会議で発生していた。原因が清掃事務所長側にあり前述した「清掃事業実施細目」の必要性が高まり,作成は一挙に進展して,2012年に完成した。
 廃棄物管理局長,技監,清掃部長,清掃監督員を対象に清掃事業実施細目の講習会を実施し,内容の了承がえられた。
 事業実施細目(英文名Administrative procedure book)は2012年12月に試験的の10のワード事務所で使ってみることになった。その後,ダッカ市では事業実施細目(Administrative procedure book)を公文とする手続きをすることが始まったところ で技プロ(延長)は終了した。
 法令浸透のため清掃監督員が業務に使うために法律等からWBA業務を支える「権限,権利,手続き」を抜き出し具体的なフローでまとめた業務実施細目の作成・実施という新しい取り組みは開始から10年を経過している。現在もダッカ市の手で,この事業実施細目は改定が続けられ,現場の事務所で勉強会を実施し法律を業務に浸透させる努力が続けられている。
(次号に続く)

【参考文献】
1.国際協力機構 ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト(延長)完了報告書2013
2.DNCC Administrative procedure book 2012
3.JICA Project Report of law expert 2012
4.東京都清掃局 清掃事業決定実施細目 平成10年(1998年)

※元東京都清掃局,元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,現東洋大学大学院博士後期課程