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日本下水文化研究会 分科会 屎尿・下水研究会
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環境講座(12)

講話:屎尿・下水研究会

コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員)

平成27年度の講話(2)

W デザイナー バングラデシュで便所作りに走る
      【1月17日,高村哲氏(本会会員)】

 バングラデシュの農村やスラムでの便所作りに参画していますが,便所に関連しての絵本・動画・Tシャツ作りを通して,ここ10年間に垣間見たアジアの実像を紹介します。

バングラデシュへの誘い  橋梁の構造設計が専門ですが,景観デザインも手掛け,やがて頼まれて登山雑誌の『岳人』や『山と渓谷』にイラストを描くようになりました。
 屋久島やネパールにルポに行ったりして,現地での取材活動は経験していました。そんな折,バングラデシュでのエコサン・トイレ作りへの参加を誘われました。

エコサン・トイレとは
 大便と小便を別々に溜めることが基本です。大便をした都度,藁を燃やした灰をコップ一杯ほど撒き,便槽で六ヶ月間放置します。この間に大便は腐熟・乾燥しサラサラとした粉状になります。普通の土の様で臭いもなくハエも寄ってきません。
 尿は隣の便器でし,別に溜めます。小便は,水で薄めて肥料として順次畑に施肥します。
 サラサラになった大便は,近くの畑で適時使います。最近では袋詰めにして有料で販売しています。
 大便と小便を分離する考え方は,日本で戦後考案されたものですが,水洗化が普及し,試作の段階で終わってしまいました。それを我々がバングラデシュで試行しているわけです。

4分ほどの手作りムービーの上映

 こんな内容のムービーです。
 エコサントイレは4〜5人がかりで一週間で作れます/ エコサントイレの使い方を講習しました/ 従来のピットラトリン型のトイレを,このエコサントイレに換えたところ衛生状態が改善され,医療費の削減につながりました/ 集落にある多目的貯水池への屎尿流入による水質汚染を防ぐことができるからです。

エコサントイレを作ろうとする学校へ向かう情景を撮影した手作りムービーを上映

 小学校の宿泊施設と砒素を含まない安全な雨水を溜める池とエコサントイレ(この部分を会の活動として支援)とをセットにしたプロジェクトです。完成後,大洪水が起りこの地域は水没し,この小学校の三階が避難所となりました。
(現地の専門家に依頼して制作した庶民の生活(ジュートの栽培,水汲み作業,砒素汚染,水の簡易な浄化法,台所仕事など)を描いたムービーの上映がありました。)
(加えて,バングラデシュ建国の歴史的経過やお国柄についての解説がありました。人々の意識の底流にインドのカースト的な考え方があり,屎尿のような汚物を扱うことに対しては違和感を持っていることが多いとのことです。)

スラム地区での活動

       
図41エコサントイレ

 クルナ市内のスラム地区において,コミュニティスペース(平屋の屋上に設置。ミーティング.住民集会,イベント開催などに利用する)や共同トイレの更新(屋根,ドア,便器の設置,壁の装飾)やバイオガス・システムを整備しました。
 ちなみに,バイオガス・システムは,嫌気的微生物反応により生屎尿を分解させ,発生したバイオガスを燃料として利用するものです。さらに,厨芥を集めてコンポスト化することも行いました。
 この地区の子どもたちに絵を描いてもらい,それを集めて絵本を作りました。

(この外,ネパールやモンゴルの映像が紹介されました。)


X 昆虫と人間との関わり〜天敵農薬と音楽の観点から〜
    【2月21日,相田雄三氏(昆虫芸術家)】

 昆虫には農作物の大敵となるモノがいる一方で,天敵農薬として役立つモノもおり,双方の面からその実情を探ります。さらに,昆虫は芸術面でも人間との関わりがあり,特に音楽の分野について趣味として集めた情報をお話します。

昆虫と天敵農薬
 昆虫は,種類数で動物全体の八割を占めており,有用昆虫(天敵など),害虫,その他に分けられます。害虫には,農業害虫,貯穀害虫,衛生害虫,不快害虫,衣料害虫などがあります。
 農業害虫を防除するのに使われるのが農薬です。莫大な経費と年数をかけて,効果はもちろん安全性,残留性,環境への影響など多くの試験を行い,国の評価を経て登録されます。
 その一方で,害虫の薬剤抵抗性などの理由により,施設栽培を中心に天敵昆虫の利用が進んでいます。しかし,様々な病害虫が発生する農業の生産現場では,天敵農薬だけで防除を完結させることは難しく,天敵農薬の使用法を習熟した上で,化学農薬とを組み合わせた防除法が用いられています。
 ちなみに,農薬取締法では,「天敵昆虫」も農薬に包含されるので,国の登録を得なければ製造販売できません。但し,例外的に「地場の天敵昆虫」は,特定農薬(特定防除資材)として,農薬登録をしなくても製造販売できます。

昆虫のうんことおしっこ
 昆虫には,他の動物の排泄物の形態を真似るモノや,自分の身を守るために自らの排泄物(分泌物)を利用するモノがいます。また,昆虫の排泄物(分泌物)を人間が食料に利用することもあります。

昆虫を題材とした音楽
「文化昆虫学」と呼ばれる,人間と昆虫との文化的な関わりを研究する新しい学問が30年ほど前に海外で提唱されました。我が国においても一昨年,この分野の初めての書籍として『文化昆虫学事始め」(三橋淳・小西正泰編,創森社)が刊行され,昆虫を文化的な側面から捉えようとする機運が高まってきています。
 ここでは,昆虫を題材にした音楽をいくつか取り上げるとともに,該当する音楽を知る方法を紹介します。

◎昆虫の音楽は何を表しているのか?

 
図42 天敵昆虫としてのナナホシテントウ

 昆虫の鳴き声を模倣する/ 昆虫の立てる音を表す/ 昆虫の動く様子を表現する/ 昆虫を通じて人間の心を表す/ 人間の恋を昆虫になぞらえる/ 昆虫が出てくる伝説や物語 などと昆虫の関わり方は多彩です。 ◎どのような昆虫音楽があるかを調べる方法?
 インターネットでの曲名検索から/ インターネットでの歌詞検索から/ CDジャケットのデザインから/ 通販会社での販売サイトから/図書館のライブラリーから/ 書籍や雑誌から/知人の情報から/ コンサートの情報から など。
 昆虫の音楽については,その収集や解説を本格的に手掛けている人はほとんどおらず,自らの手で新たに調べる楽しみがあります。クラシック音楽のみならず,童謡・唱歌,県歌,市歌,校歌,民謡,邦楽,Jポップ,ジャズ,ロック,ブルース,ポップス,ワールドミュージック,映画音楽など,多くの分野の音楽に魅力ある世界が広がっています。
(パソコンに取り込んである昆虫にちなんだ数々の音楽が紹介されました。)


Y 絵葉書と新聞広告にみるトイレの今昔
     【3月27日,山崎達雄氏(本会会員)】

 滑稽新聞社が発行した絵葉書や新聞広告にみるトイレの今昔を紹介し,当時の世相を浮き彫りにしてみたいと思います。

絵葉書の歴史
 日本で初めての絵葉書は,明治35年の万国郵便連合加盟25周年祝典の記念品として配布されたモノです。その後,日露戦争記念絵葉書が,明治37〜39年まで5回にわたって,18種類発行されています。これ以降,逓信省と民間業者が競う形で絵葉書が発行されてきました。

絵葉書にみるごみ焼却施毅
 大正・昭和初期のごみ焼却施設を撮影した絵葉書は,京都市,大阪市,東京市,名古屋市,一宮市,瀬戸市,尼崎市のモノは収集してありますが,この外にもいくつかの都市(長崎,函館,甲府)のモノが確認されています。

絵葉書と新聞広告から昔のトイレ事情を探る
 大正15年6月2日付けの京都日日新聞に,当時の日本の水槽便所業界を代表する7社が連名で,図解入りの広告を掲載しています。

滑稽新聞特集・「絵葉書世界」が描いた排泄・便所
 滑稽新開は,宮武外骨が明治34年に創刊した雑誌形式の新聞です。発刊当初から,絵葉書に強い関心を寄せています。「絵葉書世界」と云う特集号は,石版刷りの彩色絵葉書30枚を,1頁に4枚まとめて滑稽新聞に載せたものです。第1〜26集まで合計780枚載せており,この中にトイレや排泄に関するモノもあります。
「野小便地蔵しばらく傘の番」(女性の立ち小便),「女学生便所」(格子窓から気張っている女学生の顔が見える),「親の恩」(母親が幼児に小便をさせている),「寝小便を直す呪」(寝小便をした子どもが濡れた布団を担って町内を歩かされている),「三番叟 大阪方言」(小便桶に排泄した後,立ち去る三番叟(立ち小便をする女の代名詞)の姿),「廃物の排泄」(汲取り便所の開口部からしゃがんで排泄している姿が見える)などです。

大正便所の絵葉書
 大正便所は,最終的には処理(嫌気性細菌により屎尿を安定化し寄生虫の死滅を図る)された屎尿を汲取って,肥料として利用することを前提として考案されたものです。大正便所のコマーシャルを絵葉書化したモノ(昭和12年7月に出されたものと思われる)があります。

水洗便所と水槽便所
 旅館やホテルが近代的で清潔な宿泊施設であることをPRする材料として,絵葉書が使われました。虎ノ門ホテルや奈良の吉田旅館やいろは本店などのモノがあります。

絵葉書「京都市城巽高等尋常小学校」
 大正11年に新しい校舎が完成し,その後昭和4年に「最新式児童用水槽便所」が竣工していますが,これを絵葉書にしたモノが昭和の御大典の記念事業として発行されています。

絵葉書「腰掛大便器」

 
図43 絵葉書・野小便地蔵しばらく傘の番

 兵庫県尼崎町の荒井商店(大正3年創業)が発行した「洋式大便器と手洗」と云う絵葉書があります。自らの事業を宣伝するためのものでしょう。

塵紙とトイレットペーパー
 京都におけるトイレットペーパーに関する最初の新聞広告は,昭和5年5月29日夕刊の京都日日新聞に掲載された,浄化商会の「トイレット浄化紙」です。

(この外,温水洗浄便座への急速な転換は,PR効果だけでなく,下水道普及率の向上が密接に関連していると云うお話がありました。)