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シリーズ ヨモヤモバナシ



番外編:マンホルのヨモヤモいつでも見られる各地の祭り1東北編

講話者:石井 英俊*

コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員)

1.はじめに

 日本の伝統を伝えるものの一つに各地の祭りがあります。中には最近始まったものもありますが。マンホールのふたにも多くの祭りが描かれています。中でも東北地方では旧暦の七夕のころに行われる「東北3大祭り(青森のねぶた・秋田の竿灯・仙台の七夕,山形の花笠踊りを含めて4大祭りとも)」いわれ,全国から多くの観光客を集めています。最近では大震災の復興をスローガンに「東北六魂祭」,東北6県の祭りを一堂に集めた催しも行われています。私も見に行きたいのですが,祭りのころは宿が取れず,ツアーの旅行代金も跳ね上がります。今回はマンホールのふたでお安く一気に見て回りましょう。興味を持った方は是非本物をどうぞ。


2.まずは青森県

 写真−1は青森市の「ねぶた」の描かれたマンホールです。勇壮な武者像のねぶたの前で踊る“跳ね人”が元気よく描かれています。残念ながら実際の祭りを見たことはないのですが,駅近くの「アスパム」横の大テントの中で制作中のねぶたを覗いてきました。また「ねぶたの里」で,実際に祭りで運行されたねぶたが展示されているのも見て,祭りの気分だけ味わってきました。

写真−1


 写真−2は五所川原市のマンホールです。描かれているのは「奥津軽虫と火祭り」の龍です。古くは農作物を虫害から守る「虫おくり」として全国にもあった祭りだそうです。30年ほど前から“火”を取り入れた祭りとして6月に行うようになったそうです。

写真−2


 常盤村は津軽地方の農村で平成17年3月に藤崎町と合併しました。写真−3は水木地区に伝わる獅子踊りが描かれていました。獅子頭を付けた3人の踊り手に可笑子(おかしこ)という道化役が加わって踊ります。雨に濡れたふたで肝心の顔の部分が見えません。ごめんなさい。

写真−3


 写真−4は県南部,岩手県に近い南部町のマンホールです。中央に「南部えんぶり」を踊る人と周りはボタンの花です。小正月に行われていた豊作を願う祭りで,八戸のえんぶりがよく知られていますが,南部町は南部氏が盛岡に移る以前の根拠地,古くからあった祭りでしょうね。

写真−4

3.続いて岩手県です

 岩手県を代表するお祭りに「さんさ踊り」がありますが,盛岡市ではデザインマンホールを見つけられませんでした。もう一つ花巻地方に伝わる「鹿(しし)踊り」こちらは花巻市のふたに描かれています(写真−5)。9月の第2土曜を中心に3日間,花巻祭りには県内各地の鹿踊りが集結,勇壮な舞が披露されます。花巻に伝わるのは「春日流」,江刺市(現奥州市)には金津流だそうで,花巻の方が静かな鹿だそうです。14年No1Oでご紹介した滝沢村(現在は滝沢市)のマンホールには,南部富士とともに「チャグチャグ馬っこ」が描かれていました。

写真−5


 写真−6には強そうな虎が描かれています。釜石市のマンホールです。10月のお祭り「虎舞い」の虎だそうで,市の中心街近く「のんべえ横丁」そばの通りに「虎舞いの像」がありました。今回の大震災の津波で流されてしまったようで跡形もありませんでした。虎舞いの衣装も流失したそうですが,各地からの支援で祭りは復活したそうです。

写真−6

4.宮城県では

 なんといっても仙台の七夕です。仙台市の下水のマンホールに描かれていたのは市の花「ハギ」でした。諦めていたのですが,3度目に仙台市を訪れた際に駅東口で消火栓のふたに七夕が描かれているのを見つけました(写真−7)。色がなかったのは残念ですが。

写真−7


 写真−8は石巻市のマンホールです。石巻市街の東を流れる旧北上川では「石巻川開き祭」が行われます。このマンホールにはそこで打ち上げられる花火の様子が描かれています。泳いでいるのはサケでしょうか?この時期に泳いでいますかねえ。

写真−8


 写真−9の一迫(いちはさま)町は,県北部栗原郡南西部の商業の中心です。「いちのはさま」とも読むそうです。マンホールに描かれているのは,角をはやしたお面とアヤメの花でした。この地方には「早川流八つ鹿踊り」という花巻の「鹿踊り」と同様の装束をつけて踊る民俗芸能が伝わっているそうです。

写真−9


5.秋田県は祭りが多い

 正しくは「秋田県には祭を描いたマンホールふたが多い」です。初めに写真−10は秋田市の「竿灯」です。竿灯は東北三大祭りの一つで国の重要無形民俗文化財にも指定,8月3〜6日に行われます。五穀豊穣を願う祭りとして,初めは力自慢を競っていましたが,額や肩,腰に乗せてバランスをとる「技」を競う祭りになりました。一番大きな「大若」は長さ12m,重さ50kg,提灯の数は46個だそうです。夜,提灯に明かりがともると,黄金色に輝く稲穂を思い出させます。

写真−10


 写真−11の能代市のマンホールには「ねぶながし」です。この祭りは,その昔坂上田村麻呂が蝦夷との戦いで灯篭で威嚇したのが始まりだそうです。8月6,7日には,山車の上にそびえるお城とシャチホコが夜空に明々と浮かび,勇壮な太鼓に合わせて街を練り歩きます。7日のフィナーレにはお城とシャチホコの部分を米代川に流し火をつけます。横手市の「かまくら」は前回のお城シリーズで紹介しました。大人にとっては同じころに行われる「梵天祭り」の方が“燃える”そうですが。

写真−11


 写真−12,13はどちらも湯沢市のマンホールです。12の方には「犬っこ祭り」,むかし湯沢の殿様が盗賊退治をして,二度と現れないようにと,旧正月に米の粉で作った「犬っこ」を供えさせたのが始まりです。13の方にはほかに二つの祭り,「七夕絵どうろうまつり」,愛宕神社の「大名行列」も取り上げています。どちらも湯沢佐竹南家の城下町だったころにちなんだお祭りです。

写真−12


写真−13


 図−14は男鹿市の水道止水弁に描かれた「なまはげ」です。「ゴンボほる悪い子はいねがぁー」と,なまはげが家に入ってくると,泣き出した子供が親の後ろに隠れます。“ゴ ンボほる”とは,ダダをこねて泣きわめくことです。御神酒を振舞ってお引き取り願うのですが,お酒がまわるとだんだん”調子”が出て怖さが増していくとか。2月の第2金曜日に「なまはげ柴灯(せど)祭りがあります。

写真−14


 大曲市(現大仙市)のマンホール(写真−15)には花火,明治43年から始まった大曲全国花火競技会です。奥羽の山を背景に雄物川の河川敷で行われる,全国の花火師の競演です。大会は8月の第4土曜日に行われますが,「大曲の花火」として海外でも打ち上げているそうです。

写真−15


 写真−16は角館町(現仙北市)の祭りの屋台と鮮やかなモミジのマンホールです。角館は秋田藩の支藩の城下町,今でも武家屋敷が残るところですが,屋台の上にも勇ましい武者姿が再現されていますね。町並は武家屋敷の黒塀と枝垂れ桜の対比が美しく,桜のシーズンは大勢の観光客で溢れます。

写真−16


 写真−17は県南部の羽後町のマンホールです。8月16〜18日の「西馬音内(にしもない)の盆踊り」が描かれています。この踊りは「ひこさ頭巾」という黒い頭巾で顔を覆って踊る,妖しい雰囲気の踊りです。その独特の雰囲気から最近観光客が増えてきたそうですが,昔の雰囲気が薄れたと嘆く地元の方もいらっしゃいました。

写真−17


6.ようやく山形県です

 写真−18は尾花沢市,雪の結晶と中央に花笠,周りには名産のスイカも描かれています。東北四大祭りの一つ「花笠蹄り」は山形県内の各地で行われますが,県内の花笠踊りの最後を飾るのは尾花沢市で,8月の27,28日に行われます。花笠踊りはここ尾花沢が発祥の 地だそうです。

写真−18


 写真−19は市街地のはずれで一枚だけ見つけたもので,初めは何だかわからず,奥さんに「花笠でしょ」と言われてようやく気が付きました。

写真−19


 大江町は山形県中部,寒河江市西隣にある町です。左沢(あてらざわ)線に乗り込む前に,山形駅の観光案内所で見つけた大江町の街歩きパンフレット,右上に大江町のカラーマンホールが描かれていました。「舟歌の里」の祭の花火と最上川が描かれています。町内は古い街並みが残りなかなか趣のあるところでしたが,商店街でもカラーマンホールは見つかりません。最後に立ち寄った町役場の玄関でようやく発見できました(写真−20)。

写真−20


 写真−21のカカシが描かれているのは上山(かみのやま)市のマンホールです。市内には何か所も共同浴場があり,気軽に温泉を楽しむことができます。上山でもう一つ有名なのが,9月上旬〜中旬にかけて開催される「全国かかし祭り」です。昔からの「かかし」から,世相を風刺したものなどが全国から集まり,上山市の名物になっています。

写真−21


7.最後に福島県です

 福島市のマンホール(写真−22)には大きな「わらじ」を担ぐ人々が描かれています。「信夫三山暁まいり」は2月10,11日に,信夫山羽黒神社に長さ12m,重さ2tの「大わらじ」を奉納するものです。災厄防除,五穀豊穣,健脚を祈願して,雪のなかを大勢の人が担ぎあげます。また8月上旬には「福島わらじまつり」,大中小のわらじ行列とわらじ音頭の踊り流しが市内を練り歩きます。描かれているのはどちらでしょうか。このふたを見つけたときは“ゴキブリ”が描いてある?なんて,失礼な想像をしてしまいました。

写真−22


 写真−23は会津坂下(ばんげ)町のマンホール,下水道展の際に同町のブースに展示されていたものです。描かれているのは「ばんげ初市大俵引き」です。1月の極寒の雪の中,下帯一本の男衆が重さ5tの大俵を引き合います。上町(東方)が勝つと米の値が上がり,下町(西方)が勝つと豊作になるそうです。“引き子”は1年間無病息災になるそうで,全国から集まるそうです。

写真−23


8.おわりに

 今回は「東北地方の祭り」を集めてみました。あるもんですね,特に秋田県は(私の出身地ですが)。全国各地,町おこしのためにも「祭り」が注目され,復活するものや新しく創作され全国規模になっているものもあります。次回は全国の祭りのマンホールを集めてみましょう。
※日本のマンホール文化研究会