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世界の列車トイレ −トルコ−

講話者 清水 洽*

コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員)

 ヨーロッパとアジアにまたがる国トルコはイスラム圏で,もっとも穏健で日本と親密な関係にある国です。鉄道ではアガサ・クリスティーで有名なオリエンタル急行のパリからの終着駅の国です。鉄道の建設は古くオスマントルコ時代の1856年にイギリスの会社が内陸からの鉱物資源や農産物の輸送のため創業しました。1923年の独立を機に,トルコ共和国は全ての鉄道を国有化しました。日本の2倍の面積の国土に人口7,236万人と少なく,トルコの東側は国境も明確でなく隣接国との関係も不安定です。
 現状のトルコでは鉄道輸送の役割は低く,海路,陸路と競合しており,将来の事業計画を検討中です。トルコ国鉄(TCDD)の軌道は1435mmで電化率は20%以下と低く,またほとんどが単線です。スピードアップと複線化および輸送改善のためイスタンブール〜アンカラ〜コンヤ間に高速鉄道の計画があり,現在アンカラ〜エスキシェヒルリ間まで完成しています。当然,列車トイレの汚物は垂れ流しと思われます。



写真−1バスで移動中のイスタンブール〜ゲリボル港間,テキルダー町ドライブインの有料トイレの写真です。トルコのトイレはお店やホテル以外はほとんど有料で比較的きれいでした。 2011.1.6


写真−2 エフェス遺跡の紀元前333〜紀元後395のヘレニズム・ローマ時代の公衆トイレ,下水道も完備していました。 2011.1.7
写真−3 アンカラ駅のトルコ高速列車ユクセッキ・フズル・トレニ(YHT)です。スペインCAF社製のRENFE120型でスペイン マドリッド〜バルセロナ間の高速鉄道AVEと同じ形式です。そのため真空式トイレが装備されていると思います。2011.1.11


写責−4 アンカラ駅に保存されているオリエント急行の客車か? 2011.1.11




写真−5 アンカラ駅発22:00イスタンブール行きの寝台急行 2011.1.11


写真−6 私が乗車したアンカラ駅発22:30イスタンブール ハイダルパジャ駅行き寝台急行1等寝台。シャワーも付いていますが,今回は使用できませんでした。 2011.1.11






写真−7 トイレは車両両端に形式の異なるトイレがありました。始発駅のためか水洗式トイレは清潔で,汚物落ち口からは車輪の音が聞こえていました。 2011.1.11
写真−8 1時間遅れてハイダルパジャ駅に到着した寝台急行。牽引してきたE43000型電気機関車は日本の東芝製です。 2011.1.12


写真−9 イズミル近くの国鉄車両 ディーゼル機関車はドイツ,フランス,アメリカ製が多いようです。 2011.1.7
写真−10 真っ直ぐ続く単線レールパムッカレ〜Kirazli bahce付近〜コニャ間 2011.1.8








写真−11イスタンブール,オリエント急行の最終到着駅。汚物流し管を探すため列車の下を覗くが,見当たりませんでした。 スィルケシ駅 2011.1.11


写真−12 イスタンブール市内は路面電車が整備されており非常に活気のある町です。グランド・バザール裏の路面電事は,もちろんトイレ設備は装備していません。2011.1.11


写真−13 旧市街地と新市街地をつなぐガラタ橋を渡る路面電車 2011.1.12
写真−14 アヤソフィア博物館前の路面電車 2011.1.11
写真−15 イスタンブール バルセロ エレシン トプカプホテル前のローマ時代の城壁の前を行く路面電車。もちろんトイレは付いていません。 2011.1.12
写真−16 フェニキュル〔地下ケーブル〕世界で一番短い地下鉄 2011.1.12


写真−17 タクスィム広場のチンチン電車とイスタンブールの繁華街イスティクラール通りを行くチンチン電車 2011.1.11


写真−18 コニャのインジェミナーレ神学校前の路面電車 2011.1.8

 今回の鉄道の情報は京都大学鉄道研究会OB路次安憲氏からいただきました。
 尚,写真は全て清水 洽が撮影いたしました。

引用文献
1)社団法人 海外鉄道技術協会編集「最新世界の鉄道」2006.7
2)地球の歩き方編集室「イスタンブールとトルコの大地」2010.3.5

※NPO21世紀水倶楽部