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関野勉 トイレグッズコレクション 特集その1

講話者 関野 勉*

コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員)

 関野勉氏は,日本下水文化研究会,日本トイレ協会ならびに和紙文化研究会の会員として幅広く活動している家庭紙研究家であり,トイレグッズの収集家です。氏が長年にわたって国内・海外を旅した折などに収集されたトイレグッズのコレクションを,逐次,紹介していきます。


トイしグッズコレクシヨン−1
【フランスのトイレしぐさの絵葉書】

1904年日付のあるフランスのトイレ
入出情況絵葉書 関野勉蔵

 2003年にフランスの友人から寄贈された,1904年の日付のある絵葉書である。ご婦人が腰掛け式の汲取りトイレに入り,出て行くまでのしぐさが,8枚の絵に連続的に描かれている。この当時,すでにトイレットロールが使われていたことがわかる。現在の日本とは異なり,壁側からロールを引き出している。ちなみに.日本における卜イレットロールの国産化は,1924年からといわれている。


トイレグッズコレウシヨン−2 【トルコ・エフェソス遺跡の公衆トイレ跡】

 1999年にトルコに出掛けた時に訪れた,古代ローマ時代のエフェソス遺跡の石造りの公衆トイレ跡(L字型に配置)である。馬蹄形の穴に腰掛けているのは私・関野であるが,往時もこんな格好で並んで用を足していたのでしょう。穴の下には水が絶えず流れており,一種の水洗式であった。湿った海綿のついた棒を股の前の切れ込みから差し入れて,尻を拭いたという。


トイレグッズコレクション−3 【浮世絵・妻恋ごみ坂の景にみる江戸の厠】

 歌川広影の浮世絵「江戸名所道外盡」50枚の中の1枚である。東京・神田明神近くの妻恋坂付近の公衆トイレを描いたもの。北斎漫画の厠図を元に,遠景に町並みを,中景に桜の木と階段を登る女性を配している。扉の上半分が開いている構造のトイレは,江戸の特徴である。浮世絵の一枚物で厠を描いたものはこれ以外は知らない。この絵は,李家正文の名著「厠考」の表紙を飾っている。


トイレグッズコレウシヨン−4 【厠神の人形】

 日本では家の守り神の一つとしてトイレにも神様が宿っていると信じられ厠神,便所神,雪隠神,関所神などといわれ大切にされた。これは金沢市の仏具店で売られていた高さ10cmほどの男女2神の厠神をかたどった素焼きの人形である。鮮やかに彩色されており,トイレに祀られた。トイレを造り代える家では,古いトイレの便壷を土に埋めるときにこの人形も一緒に埋めた。仙台辺りにもこれと似たものがあるという。


トイレグッズコレクシヨン−5 【スペインのウンチ人形】

 スペイン・バルセロナで12月に.教会の前に立ち並ぶ店で,ツリー,ローソク, 飾り物などのクリスマス用品に混じって売られていた。大小は様々で,素焼き製のほかプラスチック製のもあり,安いものから数千円もするものまでいろいろな種類がある。イスラム教あるいはキリスト教との結びつきがあるようだが,詳しい故事来歴は不明である。子ども向けの雑誌の「たくさんのふしぎ」の記事で知り,わざわざ出掛けて行き買い求めたものである。


トイレグッズコレクシヨン−6 【高知の女性の立ち小便人形】

 四国の土佐に古くから伝わる土人形で,高知市の播磨屋橋のそばの土産物屋が発売元である。三人並んで立ち小便をしていることから,「つればれ(ばれとは小便のこと)」と呼ばれている。彩色がほどこされ大・小がある。真ん中が娘でその左右は母と叔母で,田植え時の着物姿での立ち小便を模しており,ニコニコと笑っているリアルな人形である。ほかに,夫婦二人のもの,女の子一人のものなどがある。


トイレグッズコレクション−7 【中国の穴あきズボン人形】

 昔,中国の幼い子どもたちはお尻のところが縦に割れているズボンをはかされていた。排泄時,ズボンを下ろしたりせず,そのままさせればよいからである。この土人形は,20年ほど前に北京空港の売店で買ったものである。その当時は上海などの街中でもこのようなズボンをはかされた子どもを見かけた。現在,中国ではこのような人形自体が見られなくなった。後日,日本の骨董市でも見かけた。


トイレグッズコレクション−8 【便器型のキーホルダー】

 本革製の豪華なキーホルダーで,「トイレ」と命名されている。(有)バンカクラフト社製のもので,カメラ型,SL型,腕時計型など100種類以上もあるシリーズものの一つである。最初はある展示会で買い求めたが,後日,お茶の水の丸善の文房具売り場で販売されているのを見つけ,追加買いをした。革製のほかに,プラスチック製のものもある。


トイレグッズコレクション−9 【大正時代の商家の厠掃除】

 厠掃除をしている下男の頭の先にある小便器は,朝顔の形から明治〜大正頃の陶器製と思われる。男女の服装を勘案すると,大正時代の商家における厠掃除であろう。小便器と大便器との間は開き戸によって仕切られているのが一般的であり,この絵では構成上隠れているのであろう。フランスの友人から寄贈された何枚かの絵葉書のうちの1枚である。外国人が土産物として日本で買い求め,フランスに持ち帰ったのを見つけてくれたのである。日本で探してみたが,今のところ見つかっていない。


トイレグッズコレクション−10 【さくら花紙のポスター】

 明治〜大正時代にかけて多くの化粧紙が開発されたが,その嚆矢とも言える東京の竹内商店製の「さくら花紙」のポスターである。90年以上前に作られたもので,私が東京・神保町の古書店で見つけた。製品の中に,「さ」,「く」,「ら」,「花」,「紙」と印刷された小紙片が入っており,「さ,く・ら・花・紙」と通しになるように5枚集めると1袋サービスする旨を告知したポスターである。


トイレグッズコレクション−11 【便器型の器】

 台湾の居酒屋で使われていた,便器を模った器の数々である。紙に関することを勉強するために来日していた留学生に依頼して,夏休みに帰国した時に買って来て貰った。7箇所の居酒屋で実際に使用していたものだという。洋式便器を模ったどんぶりには麺を,、和便器型のお皿にはおかずを,男子用の朝顔や尿瓶を模った器にはビールを,そして洋式便器型の小カップにはスープやコーヒーを,それぞれ盛り付けたり注いだりする。


トイレグッズコレクション−12 【化粧紙のキレー紙】

 福島県郡山市の古書店の展覧会で見つけた,東京・文京区にあった堀内製紙所の大正9年製の化粧紙の現物である。「衛生無害消毒済」といううたい文句が印刷されている。当時,この「キレー紙」は,高知県製の「アサヒ紙」とともに化粧紙を二分していた。列車や映画館や劇場で,「エーッ!パンにキャラメル!タバコにマッチ!仁丹にキレー紙!」の掛け声で売られていた。観劇や温泉への招待など,派手な売込みが繰り広げられていた。


トイレグッズコレクション−13 【中央アジア地域の赤ちゃん用尿器】



赤ちゃん用ベッド
赤ちゃん用尿器 右(上)が男子用 左(下)が女子用

 中国のカシュガルがらトルコ辺りまでの中央アジア地域で使用されている赤ちゃん(1〜2歳)用の尿器である。コーンパイプのような形をしており,カシュガルでは家具屋でベッドとともに軒先に吊り下げて販売していた。形状は男女で異なり.ベッドの真ん中辺りに開いている丸い穴にセットさせられる。ベッドの穴の下には,尿器から流れ出る尿を受ける壷が置かれている。


トイレグッズコレクション−14 【京花紙のラベル】

 東京・神田の古書店で見つけたもので,スクラップ帳に京花紙のラベルが約200枚貼られていた。昭和30年代に製造されたもののラベルである。他に,バラのものも18枚同じ古書店で購入した。京花紙は現在でもわずかながら生産されているが,統計には出てこないほど少量である。ちなみにわが国では,トイレットロールは100万t/年,ティシュペーパーは50万t/年ほど生産されている。2009年のトイレットペーパーの消費量は8.07kg/年/人であり,オイルショック時(昭和48年)に比べ倍増している。


トイレグッズコレクション−15 【韓国のおまる】

 韓国で「よがん」と呼ばれている真鍮製のオマルである。柳宗悦さんと一橋に民芸運動をやっておられた方に送ってもらったものである。韓国では,紙紐で作った器に漆を塗った小便壷や磁器・陶器製のものも使われていた。扶余の百済博物館には,男性用や女性用の虎子(オマル)が陳列されていた。女性用のオマルはヨーロッパでは見かけるが,東南アジアでは珍しい。


トイレグッズコレクション−16 【江戸時代の厠の復刻】



 江戸小物を商っている店で,「守貞謾稿」に出てくる江戸と関西の厠のミニチュアを製作してもらったものである。江戸では厠の扉の上半分が開いており中の様子が見える造りであるが,関西では扉は下から天井まである。また,しゃがむ姿勢も江戸では扉に対して平行であるが関西では扉に対して直角と,違いがあった。ついでに,厠を使用している町人の人形も作ってもらった。(左が江戸,右が関西の厠)


トイレグッズコレクション−17 【イギリスの道路掃除兼用のバキュームカー】

 2004年にイギリスを旅した際に,シェークスピアの生誕地の玩具店で見つけたものである。日本のものとは異なり,道路上のゴミをブラシで掃きながら汚泥などをバキュームで吸引するタイプではないがと思われる。浄化槽を使用している地区もあるので,バキュームカーが必要なのであろう。7月14日のパリの軍事パレードを見物したとき,バキュームカーで馬の糞拾いをしているのを見かけた。


トイレグッズコレクション−18 【モヘンジョダロ遺跡の土板】



 パキスタンのモヘンジョダロ遺跡で発掘されたトイレで使用されていた,尻始末用の土板である。この遺跡は,トイレや下水道がすでに設備されていたことで知られている古代遺跡である。「おにぎり」そっくりの形をしており,三角の尖っているところを持ち,上下六面を使用していた。天日で乾かして再使用したという。上はカラチの博物館に陳列されていた実物の写真である。下は私が粘土で作ったレプリカで,日干しなので割れ易い。

※家庭紙研究家
 日本下水文化研究会会員