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世界の列車トイレ ー中国シルクロードを行く鉄道ー

△講話者 清水 洽 *

コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員)

 今回はシルクロードの列車です。西遊記に出てくる三蔵法師が旅をした道です。私ではなく家内が高等学校の昔の仲間と出かけるとのことで留守番を命じられ「列車のトイレの写真を撮ってくること」を条件に許可をいたしました。
 このウイグル自治地区はモンゴル族で漢民族はほとんどいない地区で,尖閣諸島の情報もほとんどなく対日感情も非常によく,大変歓迎されたそうです。その上,報道規制や共産党の監視の元,自由な発言は出来ず,なかなか本音は聞けないようです。言葉もウイグル語で駅の標識もウイグル文字と漢字で,全く読むことはできません。この地区は核実験場のあった場所で進入禁止地区があちこちにあるようです。

シルクロード・タクラマカン砂漠

 乗車したのは天山南線のトルファンからクチャです。天山南線(南彊鉄道)はトルファンからキルギスタン国境近くのホータン(和田)までの1,930kmを天山南路沿いに標高3,000mの山越と砂漠の中を通る過酷な路線で,1999年12月に開通した歴史の浅い路線です。
 もちろん電化はされておらず単線でディーゼル機関車の牽引で石油や鉱物資源を運ぶ貨物列車が優先です。快速の長距離旅客列車はウルムチから朝と夕方に運転される2本です。2012年4月の中国時刻表によると,快速の長距離旅客列車はウルムチ〜カシュガルに1日1往復,ウルムチ〜カシュガル〜ホータン(和田)に1日1往復が運転されており,ウルムチ〜カシュガルの旅客列車は2往復となっています。他にウルムチ〜アクスに2往復,ウルムチ〜コルラに1往復が運転されています。
 そのためできるだけを多くの乗客を運ぶため,2階建ての寝台車と食堂車を連結して15〜18両の客車を連結した長大編成で運行されています。
 尚, 今回の情報は京都大学鉄道研究会OB藤原 徹氏からいただきました。

写真1トルファン駅に到着した5806/5807 ウルムチ発アクス(阿克蘇)行き快速列車 00:14発の予定が3時間ほど遅れての発車。 2012.10.9


写真2 乗車した列車の行き先表示と1等車両 2012.10.9
写真3 1等寝台車の寝台は2段で,4人部屋になっています。 2012.10.9




写真4 トイレは車両の両端にあり片方が洋式トイレ,反対側にしゃがみ式トイレがついています。トイレは水洗式ですが汚物は垂れ流しです。 洗面所は洋式トイレのものです。2012.10.9

 一方,チベットのラサまで行くチベット鉄道の車両は,最高地点のタングラ駅付近の標高5,072mまで登るので,気圧の関係で車両は機密式になっており,トイレも真空式で汚物はタンクに貯めているそうです。



写真5 途中駅「コルラ」駅で交換する貨物列車 2012.10.9


写真6 4時間遅れで18:00頃クチャ駅に到着,交換する上りの快速列車,普通車の寝台列車は2階式でフロア毎に2段ベッドが設けられています。 2012.10.9


写真7 交換する上り列車(左)と食堂車の様子(右) 2012.10.9
写真8 クチャ駅の駅舎 2012.10.9
写真9 タクラマカン砂漠の中を行く貨物列車 2012.10.9
写真10 チベット鉄道の真空式トイレ(汚物を流すための小さなノズルがついています)藤原 徹氏提供

※NPO21水倶楽部
 日本下水文化研究会会員