会友会員の方が出された本の紹介のコーナー
日本のマンホール −マンホールの教えてくれること− 2012/9/10 御園書房
石井英俊 著
「日本のマンホール −マンホールの教えてくれること−」
御園書房(定価1,200円+税)
著者は「冒頭」の文で、「全国のマンホールの写真を集めてみようと思い立ったのが15年ほど前のことです。以来、1,200以上の市町村のマンホールの写真を撮り続けてきました。…(その頃)私は折りたたみ自転車で日本の各地を観光メインで回っていたのですが、(それからは)普及し始めたデジカメを買い、マンホール撮影が中心の“市町村を回る”輪行になりました」と述べ、諸外国のマンホールはごく一部を除いて滑り止めのための模様があるだけで日本のように市町村の特徴を描いているものはなく、日本のマンホール蓋の絵柄の豊富さは、郷土意識の強さと鋳物技術の高さを示すものであると指摘する。
これまでに3,000枚近くのマンホールの写真を撮ってきたそうであるが、その中から、なにやら意味ありげな絵柄のものを270余り選んで、その絵柄を見て感じたことやその町の印象をそれぞれ200字程度に手短に纏めたものである。下水道に限らず、消火栓や水道などの他事業のものも取り上げている。探訪記付の写真(カラー)集と云った趣きの本である。特に「目次」はなく、マンホールの絵柄を民話、故事、童謡、花、建物、橋、城、町並み、祭り・行事、名所などとおおくくりに分類して並べてある。お目当ての市町村のマンホールの絵柄を手っ取り早く探したい方のために、巻末に「市町村別の索引」が付いており、これが「目次」代わりになっている。
一例を挙げれば、ジョーク的な絵柄としては「サの字が九つ」で草津、「トの字が三つ」で水戸、民話的なものとしては「桃太郎」の岡山、「金太郎」の南足柄、童謡をモチーフにした「タヌキ」の木更津、同じ「タヌキ」の絵柄でも「ぶんぶく茶釜」の館林、故事にちなんだものとしては「那須の与一が扇を弓で射る」の高松、同じ「那須の与一」でも与一の出身地の大田原、日本の中心に関しては「子午線の通る町」の明石、スポーツにちなんだ「スキー」の富良野などなど。花・鳥・木の絵柄は似たようなものが多いとか。
ちなみに、著者の石井英俊さんは、昨年まで東京都下水道局に勤務されていた方である。西日本は撮影がまだあまり進んでいないので、自由に使える時間が増えたこれからはこちらの方面を重点的に回りたいと、なお一層、「自転車で集めたマンホールの絵柄」収集に熱意をもやしておられる。なお、本書は自主出版のため書店には置いてないため、購入等の問い合わせは以下にお願いしたいとのことである。
日本のマンホール文化研究会
〒165−0022 東京都中野区江古田1−9−17 石井英俊 方
Fax 03-3952-6123
(屎尿・下水研究会 地田修一 記)