読み物シリーズ
シリーズ ヨモヤモバナシ
第70講:知識創造理論を利用した「クリーンダッカ・プロジェクト」の計画
暗黙知を整理して形式知に変換する その2
講話者:石井明男*
コーディネーター 地田 修一
(前号からのつづき)2−6「ダッカ廃棄物改善プロジェクト」解析のために,SECIモデル2の構築が必要である。
3 SECI
モデル
SECIモデルの構成
1 暗黙知の醸成と共感,OJT
暗黙知⇒暗黙知
2 直観を生かした暗黙知から形式知への概念化
暗黙知⇒形式知
3 形式知の連結化,理論化
形式知⇒形式知
4 理論化された形式知を,暗黙知として再び内面化し実践化
形式知⇒暗黙知
4−2 SECIモデルの暗黙知を想起させるキーワード
まだまだ暗黙知が言語として認められていないことから,具体的活動を想起させる暗黙知を象徴させるワードを以下に列記する。
・組織・制度関連
・職員,住民の活動関連
・清掃事業と地域慣習関連
・事業の方向性関連
・職員,住民活動関連
・清掃事業へのモチベーション関係
・衛生的(きれいな)仕事のイメージ関連
・誇りが持てる清掃活動関連
・住民の清掃事業へ感謝関連
・情報の扱い関係
・権限の分散関係
・コミュニティ関連
・職員,住民の活動
・清掃事業と地域慣習関連
・事業の方向性関連
・職員,住民活動関連
・誇りが持てる清掃活動関連
・住民の清掃事業へ尊敬のマインド関連
・清掃事業の情報への関心・扱い関係
・権限の委譲と分散関係責任
・現場の活動・計画関連
・迷惑な収集システムに対する意識関連
・水路の清掃に対する意識関連
・安全衛生に対する意識の観点
・職員の安全衛生作業観念について
・職員の道路清掃,収集作業,埋立作業などの業務への関心
・汚職の存在・風土についての意識
・廃棄物管理事務所のデータの関心
・住民と共同で事業を決めることへの関心
4−3 SECIモデルで生まれた自己組織化を促進できる活動
・市役所のなかに廃棄物を総合的に管理できる廃棄物管理局が設立された
・各区に廃棄物事業を専門に扱う廃棄物管理事務所をつくり,区ごとの廃棄物管理を行える分散管理のシステムを構築した
・廃棄物管理事務所長に清掃監督員が就任した
・廃棄物監理事務所長に清掃事業方針,清掃事業に関する法令を理解してもらった
・道路清掃員に清掃作業,マニュアルで清掃作業,清掃事業方針を理解してもらった
・清掃事業指針を廃棄物管理局と住民との共同作成した
・廃棄物管理事業に住民参加するためにCUWGを組織した
・廃棄物管理事務所長による一次収集に参加できる一次収集業者の管理を行うことにした
本稿の終わりに
知識創造理論は,経営学の手法で今までODAプロジクトには使われなかった。しかし,野中研究グループがODAプロジェクトに適用することを提唱した。野中研究グループの研究成果は,参考文献である日本型開発強力とソーシャルイノベーションに7つのプロジェクトが掲載されている。
・ダッカ廃棄物処理改善プロジェクトの活動は知識創造理論SECIモデルに沿って作られている
・ダッカ廃棄物処理改善プロジェクトの活動は自己組織化が行われて,自立発展している可能性がある
参考文献
1.小田理一 学習する組織入門 自分,チーム,会社が変わる持続的成長の技術と実践 英治出版 2017.6
1.野中郁次郎編著 日本型開発強力とソーシャルイノベーション −知識創造が世界を変える− 2024 千倉書房
2.石井明男:技術協力プロジェクトにおける自己組織化がプロジェクトに及ぼす影響の研究 廃棄物資源循環学会研究発表会 第33回 2022
3.石井明男 眞田明子 クリーンダッカ・プロジェクト −ごみ処理理が及ぼした社会変容の記録− 佐伯印刷 2017
4.(参考資料)松永正英 知的創造理論に基づいたODAプロジェクトの実施 乗物資源循環学会春の研究討論会 2025.5.29
5.マイケルボランニー 暗黙知の次元 ちくま学芸文庫 2003
6.石井明男 スーダン国ハルツーム州の廃棄物処理改善の経験 廃棄物資源循環学会
7.福島 真 暗黙知の解剖 認知と社会のインターフェース 金子書房 2001
※元東京都清掃局,元ダッカ廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元スーザン国ハルツーム州廃棄物管理能力強化プロジェクト総括,元パレスチナ廃棄物管理能力強化プロジェクトフェーズU総括,現東洋大学大学院博士後期課程,元南スーダンジュバ市廃棄物処理事業強化プロジェクト総括
